ビジネス

凋落した日本の家電メーカーが生き残るための二つの方法

 台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業に買収されたシャープに代表される日本の家電メーカーが韓国や中国、台湾企業に勝てず、凋落し続けている。経営コンサルタントの大前研一氏が、日本の家電大手が生き残れる二つの方法について解説する。

 * * *
 一つは、中国の巨大な製造企業を買収して垂直統合するという方法だ。開発研究は日本で行なうが、製造はすべて中国に集約して韓国勢にも中国勢にも負けないだけのボリュームを生産するのである。しかし、今の日本企業には、1000億円を超えるような投資の意思決定ができる経営者はほとんどいない。

 もう一つは、すでに中国各地に広く販売網を持っている会社を買収して競争相手よりも速いスピードで成長させるか、中国のeコマース企業と提携して中国の消費者に日本からダイレクトに商品を販売していくという方法だ。このうち私がより勧めたいのは後者である。なぜなら、中国ではeコマースが爆発的に伸びているからだ。

 たとえば、中国最大手のeコマース「アリババグループ(阿里巴巴集団)」は、昨年11月11日の「光棍節」(独身の日)セールの総取引額が約1兆7600億円にも達した。しかも、中国から日本のeコマースサイトにアクセスして商品を注文すると、非常に簡単な手続きと検査で輸入できるようになっているのだ。

 したがって、中国から日本のeコマースに直接注文できるシステムを確立すれば、売り上げを10倍に伸ばすことも不可能ではないだろう。eコマースで販売したほうが、苦労して現地でリアルの販売網を構築していくよりも、はるかに手っ取り早く、はるかに多くの消費者に販売できる時代になったのである。

 どちらも日本企業にとっては至難の業かもしれないが、これにチャレンジしなければ“死のスパイラル”から抜け出すことはできない。この意思決定ができるかどうかを今、すべての日本の家電メーカーが、例外なく問われている。

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン