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「九条の会」の逞しき商魂 右派は寄付のみで物販の発想なし

書籍や紙芝居をあわせると2万円近い出費

 参院選挙の投票日を約一ヶ月後に控えた6月6日の夜、若手保守論客・古谷経衡氏が足を運んだのは、『九条の会 東京2016 in中野』の会場(東京都中野区の「中野ZERO」)。革新系文化人らを筆頭に、9条護憲を唱えるリベラル系市民運動の総本山が「九条の会」だ。そこで、古谷氏はある発見をしたという。

 * * *
 私はこれまで、右派の集会に数えきれないほど足を運んできた。そこから毎度感じるに、革新左派のこの手の決起集会・大集会の類は右派のそれとは比較にならぬほど洗練・組織化されているのを感じる。

 登壇者はことあるごとに、スピーチの終わりにカンパを呼びかけ、また自著出版物の購買を叫ぶ。仰天したのは登壇者の高校生の「沖縄平和学習旅行」の旅費までもカンパで募ろうという呼びかけであった。

 しかしそれに呼応するカンパシステムはよく整備されており、入場料1500円(当日)のほかに、各所にカンパ箱、カンパ便箋が用意され、入場者の義侠心をくすぐる設計となっている。

 特筆すべきなのは会場前のホールで展開される物販コーナー。新日本出版社など、日共系出版物を専門に扱う移動書店が特別出店する。聞くと店舗を一切持たぬ出張専門の業態。これだと小在庫を経営者宅の一室に保管すればよく、店舗維持費用は必要ない。

 大型書店すら撤退が相次ぐ中、ニッチな革新集会専門の書籍販売にはまだまだ未来がある。

 上杉聰著の『日本会議とは何か「憲法改正」に突き進むカルト集団』(合同出版)が平積みにされていたので、いま話題の菅野完著『日本会議の研究』(扶桑社新書)はないのか、と聞くと、扱いなし、という。扶桑社はフジサンケイグループの一員。産経・正論の利にいささかでも与しない、という魂胆なのかどうかは不明だ。

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