野菜も肉も、スーパーで買ってきた袋やトレイのまま冷蔵庫に入れているあなた! 「食材には保存のための適温がある」「ラップには種類があり、使い方を間違えると食材を傷めてしまう」って知っていましたか? 夏の食材をおいしく長く保存する方法を徹底解説します。
新鮮な食材も、間違った場所や方法で保存をすれば、予想より早く傷んでしまう。食材の保存には“適温適所”が大切だと言うのは東京農業大学元教授・徳江千代子さんだ。
「微生物、酸素、酵素、エチレンガス、光など、食材が傷む原因はさまざまですが、特に重要なのは、温度と湿度。単純に、温度が低ければいいというわけではありません。
例えば、トマトやなすは低温障害を起こしやすい食材。これらを庫内の温度が0~5℃の冷蔵室に入れて保存すると水分が出てブヨブヨになりますが、5~10℃の野菜室で保存すれば張りのある状態が保てます」(徳江さん)
温度同様に大切なのは湿度。高温多湿の夏場は特に、微生物が猛スピードで繁殖するため注意が必要だ。しかも、冷凍しても、菌は活動が鈍るだけで死滅するわけではない。
「大切なのは、菌が好む水分と酸素を遮断すること。特に、水分と脂の多い肉や魚は、スーパーで買ってきたトレイのまま冷蔵や冷凍するのではなく、表面の水分を拭き取り、隙間なくラップで包むことが大切です」(徳江さん)
【野菜にだって好みの温度&湿度がある】
●冷暗所 温度10~15℃ 湿度65~95%
きゅうり/しょうが/じゃがいも/さつまいも
●野菜室 温度5~10℃ 湿度85~95%
トマト/おくら/ピーマン/なす
●冷蔵室 温度0~5℃ 湿度90~95%
キャベツ/レタス/セロリ/かぶ/ブロッコリー/パセリ/にんじん/ほうれん草/にんにく/にら/大根
外気を遮断し、食材を新鮮に保つのに必要となるのが“ラップ”。実は、一般的なラップの素材には、「ポリ塩化ビニル」、「ポリ塩化ビニリデン」、「ポリエチレン」の3種類がある。
「家庭での食材保存におすすめの素材は、『ポリ塩化ビニリデン』です。酸素と水分を通しづらく、抜群の密着性を誇ります。これで包んでおけば、酸化や乾燥を防いでみずみずしさを保つ上、周りににおい移りしません」
とは、日本食品包装協会専務理事・広瀬和彦さん。
一方、スーパーなどで使われているラップの大多数が、「ポリ塩化ビニル」。強い密着性があるので、汁をこぼさず、ラーメンの出前などにも使われている。
「スーパーで購入したままとなると、たいていの場合、『ポリ塩化ビニル』にくるまれた食材ということになります。このラップはあくまで、水分をこぼさないようにするもので、保存には向いていません。
酸素や水分を透過しやすいので、そのまま冷蔵庫や冷凍庫に入れては、食材を傷めてしまいます。購入後は必ず、『ポリ塩化ビニリデン』のラップに包み直して」(広瀬さん)
最も安い「ポリエチレン」は、「ほこりよけ程度の効果しか期待できません」と広瀬さん。ラップも使い分けが必要なのだ。
※女性セブン2016年8月18日・25日号