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月刊『血圧』 居住地の標高と食塩摂取量を論じた記事も

医療関係者向けの専門誌、月刊『血圧』

 全国で1010万人が罹患する国民病「高血圧」に日々向き合い、最先端に切り込んでいる雑誌があった。その名も月刊『血圧』。他の追随を許さない“詳しすぎる中身”とは──。

 本誌・週刊ポストが過去に問題提起した塩分と高血圧の関係について同誌でも特集が組まれている。

〈食塩摂取量と血圧の関係〉(2010年4月号)では、食塩の摂取が6グラム以下なら血圧を下げる効果があったという「インターソルトスタディ」の結果を引用して減塩の重要性と効果を認めつつも、〈食塩負荷時の血圧上昇と減塩時の降圧には個体差が大きく(中略)食塩感受性(食塩摂取で血圧が上がる体質)の診断は不可能〉としている。これは本誌がお伝えした「減塩すれば血圧が下がるは間違いだった」という説と通ずる。

 やはり「減塩」について特集した号は多くの読者の関心を集めるようで、たびたび売り切れとなっているようだ。

 日々の生活に取り入れやすい実用的な特集も組まれている。中でも目を引いたのが、栄養士が執筆した〈美味しい減塩レシピと減塩食品〉(2012年9月号)だ。減塩食をおいしく調理する工夫として〈ゴマや油のコクと香ばしさや独特の風味を活かすなど、薄味のもの足りなさを補う〉、焼き魚には塩をふるのではなく〈食べる直前にポン酢をかけ、酸味を活かす〉など具体的な方法が記されている。料理の写真が載っていることもあって、まるで料理雑誌のようだ。

 驚くべき視点から考察したオリジナル記事も。〈居住地の標高と食塩摂取量〉(2016年8月号)は、島根県雲南市の6地域の標高29~485メートルに住む人々について調査。〈居住地の標高が高い住民は、生活の不便さから新鮮な食料品の購入機会が少なく、食塩含有量が多い保存食を摂取する傾向があるため食塩摂取量が多くなる〉と指摘している。日本人の塩分摂取量が諸外国に比べて多いといわれるのは、国土の7割超が山地が占めているからなのだろうか。

 他にも、「アスリートは高血圧になりにくいのか」、「歯を抜くとき血圧はどう変わるか」と、多彩な記事が掲載されている。

 そのうち、「週刊誌のスクープが血圧に与える影響」なんて記事が掲載される日がくるかもしれない。

※週刊ポスト2016年12月9日号

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