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トランポノミクスで輸出企業の株価は上昇局面続く

円安は輸出企業に追い風(トランプ氏のFacebookより)

 11月26日に農林中金総合研究所が発表した「金融市場」(12月号)の情勢判断レポートに、投資家たちが驚いている。農林中金はリスク回避をモットーとする金融機関として知られるが、レポートにはドナルド・トランプ氏が米大統領選に勝利したことを受けて、〈世界経済の下振れリスクは後退しつつあり、リスクオンの流れが盛り返していく可能性が高いだろう〉と記されているのだ。

 本誌・週刊ポスト前々号では、日本のメガバンク系の証券会社やシンクタンクが「トランプ大統領が就任する来年1月から日本の景気は急回復する」と予測していることを紹介したが、そうした流れに慎重姿勢の農林中金も追随したといえる。

 その変化もさることながら、資金規模64兆円を抱える農林中金が「リスク運用」へのシフトを強めれば、株式市場に与えるプラス効果は見逃せない。レポートを執筆した農林中金総合研究所の南武志・主席研究員(証券アナリスト)が語る。

「トランプ氏の勝利演説には、インフラ投資でアメリカ経済を立て直し、雇用を拡大するという強い意志が感じられました。長く続いていた世界経済の閉塞感を打破する期待感が世界的に広がっています」

 トランプ氏の勝利演説(現地時間11月9日)以降ダウ平均は急上昇を続け、11月30日には1万9225ドルを記録。足並みを揃えるように日経平均も上昇に転じ、11月末までの20日間で13%の上昇を見せた。トランプ氏の打ち出した経済政策(トランポノミクス)が好感され、「日米同時株高」という状況が生まれている。南氏はこう語る。

「株高の背景にあるのは現在進行中のドル高(円安)局面です。米経済の底堅さが証明されつつある中で、この傾向は緩やかながらも持続するのではないかと予測されます。結果、日経平均を牽引する輸出企業の株価は上昇局面が続くといえるでしょう。

 課題を挙げるとすれば、日本国内での民間消費の改善です。日本経済は現在、所得の伸びに比べて消費が伸びない状況にある。このアンバランスが是正されていくことが期待されます」

※週刊ポスト2016年12月16日号

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