ライフ

【著者に訊け】安部龍太郎氏の意欲作『半島をゆく』

直木賞作家・安部龍太郎氏が『半島をゆく』を語る

【著者に訊け】安部龍太郎氏/『半島をゆく』/小学館/1500円+税

 三重県津市のとある居酒屋。名産の鰻で一杯やりながら、〈司馬(遼太郎)さんは偉大なお仕事をなされたけど、もうそろそろあの史観を越えないと〉と、あえて直木賞作家・安部龍太郎氏は〈大胆な口火〉を切った。

 メンバーは安部氏と地元三重大学の藤田達生教授、そして西のぼる画伯の3人。2009年の『下天を謀る』でも作者・時代考証・挿画担当を務めた彼らは、以来3月に1度、文字通り全国津々浦々を旅することになる。

 表題は最年長・西氏から出た『半島をゆく』。むろん司馬の『街道をゆく』が念頭にあってのことだが、安部氏は書く。〈街道が本格的に整備されるのは江戸時代になってからで、それ以前は海運や水運が物流の中心だった〉〈その拠点となったのが半島である〉〈港には物があふれ、人々が集い、全国各地の情報が集積された。こうした場所から物事が動き出すのは歴史の常で、半島は多くの歴史的事件の舞台となった〉と。

「司馬さんが亡くなられたのが平成8年。その作品群は約30年前の歴史学に基づくわけで、その間にも多くのことがわかってきた以上、我々にはその果実を反映した新しい日本史像を構築する責任があろうと。

 そもそも日本は海洋国ですからね。流通が陸路中心になるのは鉄道が敷かれた明治からで、水運の拠点を見直すことで、もうひとつの日本史が見えてくる。まあそんな流れで旅を始めました。取材では快晴率8割ですから、なかなか運も強いですね(笑い)」

関連記事

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン