ライフ

東京・浜松町、看板の灯りがつかない角打ちに客が集う理由

20~30人が立ち飲みできる広い店内はいつも混み合っている

 JR・東京モノレールの浜松町駅南口は、巨大なビジネス街と飲食街に直結している。その真っ只中、金杉橋方面と書かれた階段を降りて2分も歩かない場所にあるのが『玉川屋酒店』だ。

「こんな駅近に、昔ながらの角打ちができる酒屋があるなんて、信じられなかったですね。見つけたときは心の中で小躍りしました」と、今では常連となったサラリーマン客。

 訪れる客の誰もが、一見の際にこんな歓声をあげる店である。

 この夜も、安くてうまい酒とともに、初訪問時の興奮の余韻に未だに酔っているかのような客たちの数が増していく。

 そんな彼らを目にしながらご主人の原伸広さん(41歳)は、「創業は安政3年(1856年)で、私は7代目にあたるのだそうです。かなり昔から続いている店ではあるんですが、正確なところは、よくわからないんですよ」と淡々と語る。

「お客さんの興奮とご主人の冷静」、そのギャップがこの店のひとつの名物なのだが、ともかく160年というとてつもない歴史をもつ老舗酒屋なのだ。

 20~30人が同時に飲める角打ちは、平成12年の春に始まった。

「私は、その年の秋から通い続けて16年。自分を隠さないで話ができる人たちとの出会いがたくさんありましたねえ。ここを見つけたことで、人生がとても楽しくなったのは間違いないですね」(50代、建設業)

「仕事場が目の前の世界貿易センタービルにありましてね。ビルはドーンと高いし、仕事でも緊張していますから、ここに30分ぐらい寄って、少し気持ちを緩めてほっとしてから多摩川の向こうにある家に帰るんです。そしてジャイアンツファンの小学生の息子と野球の話をする。毎日が充実しています。私はベイスターズファンですけどね(笑い)」(40代、商社)

「上司に連れてこられたのが最初で、そろそろ10年になるのかな。年間180日は来ていまして、店も私もせんべろ(編集部註:千円でベロベロに酔えるという意味)の先駆者だと自負してます(笑い)。

 この間にご主人夫妻にお子さんが生まれて、その子が小学生ですからねえ。親になった気分で、成長を見守っているという喜びもある。居心地は最高。ここは自分の家かって感じですね」(30代、営業)

関連記事

トピックス

STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
水原一平容疑者は現在どこにいるのだろうか(時事通信フォト)
大谷翔平に“口裏合わせ”懇願で水原一平容疑者への同情論は消滅 それでもくすぶるネットの「大谷批判」の根拠
NEWSポストセブン
大久保佳代子 都内一等地に1億5000万円近くのマンション購入、同居相手は誰か 本人は「50才になってからモテてる」と実感
大久保佳代子 都内一等地に1億5000万円近くのマンション購入、同居相手は誰か 本人は「50才になってからモテてる」と実感
女性セブン
宗田理先生
《『ぼくらの七日間戦争』宗田理さん95歳死去》10日前、最期のインタビューで語っていたこと「戦争反対」の信念
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
JALの元社長・伊藤淳二氏が逝去していた
『沈まぬ太陽』モデルの伊藤淳二JAL元会長・鐘紡元会長が逝去していた
NEWSポストセブン
ムキムキボディを披露した藤澤五月(Xより)
《ムキムキ筋肉美に思わぬ誤算》グラビア依頼殺到のロコ・ソラーレ藤澤五月選手「すべてお断り」の決断背景
NEWSポストセブン
(写真/時事通信フォト)
大谷翔平はプライベートな通信記録まで捜査当局に調べられたか 水原一平容疑者の“あまりにも罪深い”裏切り行為
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン
眞子さんと小室氏の今後は(写真は3月、22時を回る頃の2人)
小室圭さん・眞子さん夫妻、新居は“1LDK・40平米”の慎ましさ かつて暮らした秋篠宮邸との激しいギャップ「周囲に相談して決めたとは思えない」の声
女性セブン
いなば食品の社長(時事通信フォト)
いなば食品の入社辞退者が明かした「お詫びの品」はツナ缶 会社は「ボロ家ハラスメント」報道に反論 “給料3万減った”は「事実誤認」 
NEWSポストセブン