“Artificial Intelligence”略して、「AI(人工知能)」。グーグルが開発した囲碁ソフトが世界のトップ棋士を破って話題になったが、そもそもAIっていったい何なのか。
東京大学特任准教授で人工知能学会の倫理委員長も務める松尾豊さんが説明する。
「コンピューターのプログラムのことです。もう何十年も前から研究されていますが、2006年に“ディープラーニング(深層学習)”の手法が登場したことで、進化が格段に早まりました。ディープラーニングは画像などの膨大なデータからコンピューターが自ら“どこに注目すればいいか”を学習していく仕組みで、人間でいうと脳の視覚野と同じような働きをします。ロボットが自分の目で見て物事を判断して動くというイメージですね」
かつてそれは“いつか来る未来”だったが、今や“訪れつつある現実”。AIによって私たちの生活はここまで変わる。
「洗濯機の登場は主婦を家事から解放した」といわれるが、洗濯物をたたむのはかなり面倒。でも、安心してください。この3月にはAIを搭載した「全自動衣類折りたたみ機」が発売される。
セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズが開発した「ランドロイド」は、洗濯して乾燥のすんだ衣類を自動的にたたんで分類する、世界初の製品だ。同社社長の阪根信一さんが言う。
「大型冷蔵庫の野菜室のような引出しに衣類を入れておくと、自動的にたたんで、タオル、Tシャツ、ズボンというように、AIが仕分けてくれます。お父さんの分、子供の分というように仕分ける“家族別仕分けモード”もあります」
最大30枚ほど入れることができ、所要時間は1枚5~12分ほど。少々時間がかかるが、出かけたり他の用事をしている間に勝手にやってくれるのだから楽ちんだ。
「掃除」ではすでにロボット掃除機が活躍中だが、でもあれって、掃除機が部屋の中を動けるように片づけしなきゃ…というあなた。近いうちに「片づけ」も全部おまかせになりそうだ。
「AIが画像認識能力、つまり“目”を持つようになったことで、散らかったものを元あった場所に戻すことは可能です。ハードウエアの進化にもよりますが、早ければ5年以内に実用化できるでしょう」(前出・松尾さん)
「料理」は、調味料の蓋を外す、調味料をかける、といった複合的な動作を何度も行うため、片づけよりもハードルが高いが、
「食材を適切な大きさに切ったり、焼き具合を見て食材をひっくり返したりして調理することなどは、技術的にいずれ実現できる」
と松尾さん。一流ホテルの味も、レシピをもとに自宅ですぐに再現できそうだ。
※女性セブン2017年2月16日号