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ヤクルト一軍投手コーチ・伊藤智仁が語るピッチャーの生命線

伊藤智仁が一番長く背負っている背番号が14年目の84番

 東京ヤクルトスワローズの伊藤智仁・一軍投手コーチ(46)といえば、高速スライダー投手として、現役時代の活躍を思い起こす人も多いだろう。

 今から24年前の1993年4月後半から7月頭のたった3か月間で、プロ野球史に残る伝説を残す。

 プロ1年目、テレビ画面でも鋭い変化がわかる高速スライダーを駆使して僅か3か月の間で7勝2敗、防御率0.91という成績をあげ、そのまま肘の故障により戦線離脱。一軍復帰までに3年間の時間を費やしたものの、1997年には7勝2敗19セーブで見事カムバック賞を受賞した。

 2003年にプロ野球界を引退した後は、ヤクルトでずっとコーチ(2004~2007年二軍投手コーチ、2008年から一軍投手コーチ)を任されている。

 コーチとしての伊藤はブルペンに入ってもあれこれ指示せず、ただじっと腕組みをしながら投球を見ている。投げているピッチャーの後ろで邪魔にならないよう気配を消し、鋭い目線だけを動かしながら、優しく包み込むようにじっと見つめている。

 現役時代、3度の手術を経て4年半もの時間をリハビリに費やした。1度目は復帰して活躍するものの、2000年からの2度目は完治せず、そのまま引退した経験がある。だからこそ、伊藤は若い投手陣に対し細心の注意を払っている。

「石川(雅規)や館山(昌平)といったベテランは放っておいてもやるからいいんです。若い投手に対して、どんな形でもいいので何か変わるきっかけを与えてあげられるかどうかだと思う。

 これまで育った環境の違いがあれど、プロに入っている以上、良い素質は備わっているので、それをいかに引き出してあげるかがコーチの役目だと思っています。ひとりひとりに対し、どんな環境を作ってあげられるか、どんないいところでチャンスを与えてあげられるかというのが仕事です」

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