投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が3月6日~3月10日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円はやや強含みか。今月14-15日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向け、連邦準備制度理事会(FRB)の当局者は利上げに前向きな見解を相次いで示しており、10日発表の2月米雇用統計が市場予想に沿った内容だった場合、3月利上げ期待は一層高まりそうだ。市場コンセンサスである年3回の利上げの可能性も高まり、ドル買いが強まることが予想される。NYダウは21000ドルの大台を超えるなど米国株の上昇基調が続いており、ドルを押し上げる見通し。
一方、今月15日投開票のオランダ総選挙を控え、欧州政治リスクが浮上しやすく、ユーロ安・円高が急速に進んだ場合、ドル・円相場は圧迫される可能性があることも想定しておきたい。また、2月22日に発表された1月31日-2月1日開催のFOMC(連邦公開市場委員会)議事要旨は、一部で予想されたほどタカ派寄りの内容ではなかったことから、リスク選好的なドル買いを弱める結果となった。
トランプ政権による減税やインフラ投資などを柱とする景気刺激策の効果をすみやかに見極められない状況下で、FRB(連邦準備制度理事会)は早期追加利上げに踏み切れないとの慎重な見方も残されており、ドル上昇を抑える一因となる。
【日・10-12月期国内総生産(GDP)改定値】(8日発表予定)
8日発表の10-12月期国内総生産(GDP)改定値は、前期比年率+1.6%と予想されている。改定値が予想を上回った場合、株高の要因となることから、リスク選好的な円売りが出やすい。
【米・2月雇用統計】(10日発表予定)
10日発表の2月米雇用統計は、失業率4.7%、非農業部門雇用者数は前月比+18.5万人、平均時給は前月比+0.2%と予想されている。1月の雇用統計では失業率の上昇や平均時給の伸び率が鈍化し、ドル売り材料となった。2月については、非農業部門雇用者数は1月実績に届かないものの、平均時給の伸びは1月実績を上回ると予想されており、市場予想と一致した場合はドル買い材料となる。
・3月6日-10日に発表される主要経済指標の見通しについては以下の通り。