ビジネス

大前氏、残業規制は定型業務と非定型業務に分けて考えよ

大前氏が考え「働き方改革」のる問題点は?

 このごろよく言われる「働き方改革」とは、いったい何を変えればよいのか。働く時間だけの問題なのか。経営コンサルタントの大前研一氏が、悪者扱いされることが多い残業と働き方について解説する。

 * * *
 政府は「働き方改革」の目玉として、長時間労働を是正するための労働基準法改正案を検討している。残業時間を事実上無制限に増やせる現在の「36(サブロク)協定」に制限を加え、労使が合意した場合の残業時間の上限を月45時間・年360時間、最大で月60時間・年720時間(繁忙期は1か月間に限り月100時間)までとすることや違反企業に対する罰則を設けることなどが柱となっている。しかし、私にはこの議論の意味が全くわからない。

 そもそも仕事には大きく分けて「定型業務」と「非定型業務」がある。定型業務とは、データ入力や伝票整理、記帳、請求書作成など作業内容に一定のパターンがあってマニュアル化、外注化が可能な仕事で、世界中どこへ行ってもSOP(Standard Operating Procedure/標準作業手順書)があり、具体的な作業や進行上の手順が一つ一つの作業ごとに決まっている。

 最も自動化しやすい業務だが、日本企業の生産性は欧米企業の半分ほどなので、今後はAI(人工知能)やロボットに置き換えていかねばならない。そして「残業」というのは、この定型業務にしかなじまない言葉である。

 もう一方の非定型業務は、経営戦略の構築や事業計画の策定、新製品の企画・開発、対外的な交渉など個人の思考力、判断力、経験が要求されるクリエイティブな仕事であり、自動化してAIやロボットに置き換えるのは難しい。問われるのは「答えを出せたかどうか」「問題を解決できたかどうか」ということだけである。つまり時間ではなく成果で計る仕事なので、極端に言えば会社にいる必要もない。

 したがって、非定型業務には「残業」という概念そのものがないのである。入社時に非定型業務を志向した人間、あるいは非定型業務にアサイン(任命)された人間は、残業代はつかなくて当たり前なのだ。

関連記事

トピックス

元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
日本テレビの杉野真実アナウンサー(本人のインスタグラムより)
【凄いリップサービス】森喜朗元総理が日テレ人気女子アナの結婚披露宴で大放言「ずいぶん政治家も紹介した」
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬の宮城野親方
元・白鵬の宮城野部屋を伊勢ヶ濱部屋が“吸収”で何が起きる? 二子山部屋の元おかみ・藤田紀子さんが語る「ちゃんこ」「力士が寝る場所」の意外な変化
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン