投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が3月27日~3月31日のドル・円相場の見通しを解説する。
* * *
今週のドル・円は弱含みか。米トランプ政権によるインフラ投資や減税など主要政策の実行が遅れるとの懸念が生じており、リスク回避的なドル売りは継続するとみられる。トランプ大統領による政策運営の試金石と注目されていた医療保険制度改革(オバマケア)代替法案の下院での採決は24日に延期された。法案修正で与野党が歩み寄ることがあっても、トランプ大統領の政権運営を危ぶむ見方は後退しない可能性がある。
米連邦準備制度理事会(FRB)は3月14-15日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で3カ月ぶりの利上げを実施したが、金利引き上げのペースが加速するとの期待は後退したままとなっている。調整的なドル安は続くとみられ、米地区連銀総裁など金融当局者が利上げ継続について言及しても市場反応は限定的か。目先的にドル買い材料は乏しいなか、米金利の先高観はやや後退しており、ドルは心理的な節目である110円を試す可能性は残されている。
NYダウの20000ドル割れが視野に入ると市場センチメントはさらに悪化し、リスク回避的なドル売りは強まるとみられる。30日発表の米10-12月期国内総生産(GDP)確報値が改定値を下回った場合もドル売り材料になりそうだ。
【米10-12月期国内総生産(GDP)確報値】(30日発表予定)
30日発表の米10-12月期GDP確報値は前期比年率+2.0%と、改定値+1.9%からやや上方修正される見通し。ただ、速報値からの伸びは0.1ポイントにとどまることから、予想通りでもドル買い材料にはならないとの見方は多い。ドル安の地合いが続く中で発表された場合には予想通りでもドル売り材料になる可能性がある。
【米2月コアPCE】(31日発表予定)
31日発表のPCEコア指数は前年比+1.7%と、伸び率は前回から横ばいが見込まれている。ただし、市場予想を上回った場合はFRBが目標とする2%インフレ率の早期達成の思惑が浮上し、ドル買い材料となりそうだ。
・3月27日-31日に発表される主要経済指標の見通しについては以下の通り。