投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が5月1日~5月12日のドル・円相場の見通しを解説する。
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5月1日-12日週のドル・円はもみあいか。5月7日に行われるフランス大統領選の第二回投票(決選投票)で、中道系独立候補のマクロン前経済相が欧州連合(EU)離脱を掲げる国民戦線のルペン党首を破る公算。予想通りならリスク先行的なドル買い・円売りが優勢となる展開となりそうだ。クロス円レートの上昇(主要通貨に対する円売り)も見込まれることから、ドルは対円で底堅い値動きとなる見通し。ただし、大方の予想に反してルペン氏が勝利した場合、リスク回避の動きが強まり、円急騰の可能性がある。
米トランプ政権は4月26日、連邦法人税率の35%から15%への大幅引き下げを柱とした税制改正案を発表した。ただ、税収規模や財源などの詳細は明示されず、実現性については懐疑的な見方が少なくない。税制改革の有効性も疑問視されており、リスク選好的なドル買いがさらに広がる可能性は低いとみられる。
5月2-3日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、金融政策の現状維持が見込まれる。米連邦準備理事会(FRB)による2017年の利上げペースは3回から2回に鈍化するとの見方が一部で浮上しており、FOMCの声明内容から6月利上げの可能性が見出せない場合、市場はドル売りに傾くだろう。
【米連邦公開市場委員会(FOMC)】(5月2-3日開催予定)
3月14-15日の会合で政策金利を0.75%から1.00%に引き上げたばかりで、金融政策は現状維持の公算。FRBによる利上げペースは年3回から2回に鈍化するとの見方が一部で浮上しており、方向性が注目される。
【米4月雇用統計】(5月5日発表予定)
5月5日発表の4月米雇用統計は、失業率4.6%(前回4.5%)、非農業部門雇用者数は前月比+19.3万人(同+9.8万人)、平均時給は前月比+0.3%(同+0.2%)と予想されている。非農業部門雇用者数は前回想定を大きく下回った反動で大幅な改善が見込まれる。ただ、米利上げペース鈍化の思惑が浮上しており、予想を下回る内容だった場合、リスク回避的なドル売りが強まりそうだ。
・5月1日-12日に発表される主要経済指標の見通しについては以下の通り。