2015年秋、インドネシア高速鉄道の受注を日中で競い合った。日本は、最終盤で逆転され、中国案に決定。手痛い敗北となった。それから1年半。中国による工事は遅れており、当初予定の2019年開業は困難に思える。ノンフィクションライター・水谷竹秀氏がレポートする
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この高速鉄道事業が遅れていることに対する不信感の表れなのか、現在、インドネシア政府が進める別の鉄道計画は日本に要請するとの憶測も広がっている。
ジャカルタと第二の都市、スラバヤを結ぶ約730kmの既存の鉄道区間は、時速90kmで約9時間かかる。これを時速160kmまで準高速化し、5時間程度に短縮させるのがその事業計画だ。
具体的には現在のディーゼル機関車を電化し、約1000ある踏切の整備やカーブを緩やかにするなどで、総事業費は80兆ルピア(約6500億円)と見積もられている。事業可能性調査は5月にも始められ、終了した後に着工する予定だ。工期は2~3年。まだ公式に受注先が発表されたわけではないが、いずれにしても日本が巻き返しを図る可能性が出てきた。
この事業計画を担当するインドネシア海洋調整省のリドゥワン副大臣は語る。