「スマホ育児に賛成ですか? 反対ですか?」と全国396人の20~80代男女に調査したところ、こんな結果になった。
賛成:44.9%
反対:55.1%
2016年、米国小児科学会は乳幼児の養育者に向け、「18か月以下の幼児に電子機器の利用は避けること」「2~5才児は1日1時間の利用に制限すること」といった声明を発表。これに対し、白百合女子大学発達心理学科教授の木部則雄さんはこう賛同する。
「子供にとって母親は、最初のコミュニケーションの相手。1才まではスマホに頼らない直接的なかかわりが大切。それを楽しんでほしい」と語る。
さらに、スマホやゲームなどの使用で、バランスの取れた知能の発育を阻害する恐れもあると、警鐘を鳴らす。
「スマホを過度に使うと、視覚のみが刺激され、耳から聞いて考え、想像する力が疎かになります。そうすると、人の話を聞くことが苦手になり、理解力にも影響を与え、さらにコミュニケーション能力にも支障をきたす恐れがあります」(木部さん)
ひとりの世界に没頭できるスマホは、子供の孤立化を助長するのか…。一方、親も孤独だと千葉大学教育学部教授・藤川大祐さんは言う。
「働きながら育児をする母親が増えているにもかかわらず、社会はそんな母親に冷たい。例えば、電車内で子供が泣くと、周囲の白い目にさらされる。母親は、常にストレスを抱えながら子育てしているのです」(藤川さん)
なお、育児のどんな場面でスマホを活用したかを聞くとこんな結果になった。
47%:病院やレストラン、電車などで、ぐずったり、泣きやまない時
26.5%:家事や仕事でかまってあげられない時
5.9%:子供の機嫌が悪い、言うことを聞かない時
5.9%:眠らない時
14.7%:その他
スマホで動画を見せ、それで子供がおとなしくなるなら、母親はどれほど楽か。望ましくなくても使わざるを得ない状況を、社会が作っているのも事実なのだ。困った時に助け合える人がいれば、スマホに頼る育児はしないはずだと藤川さんは語った。
スマホ育児を批判する前に、大人みんなで子供を育てる意識を持つ必要がある。
※女性セブン2017年5月25日号