投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が5月29日~6月2日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円はもみあいか。6月13-14日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向け、経済指標が堅調なら連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測が高まりそうだ。しかしながら、6月利上げは想定内の動きであり、織り込み済み。昨年11月の大統領選でのトランプ陣営とロシアとの関係を巡る疑惑は払拭されていないため、リスク選好的なドル買いは抑制される可能性がある。
5月2-3日に開催のFOMC会合の議事要旨は、6月利上げの可能性を一段と高める内容ではなかったが、利上げ期待は後退していない。今週発表される4月コア個人消費支出価格指数、5月製造業ISM、5月雇用統計などが想定通りの内容だった場合、1-3月期国内総生産(GDP)速報値による減速懸念は後退し、ドル買いが優勢となる可能性がある。
ロシア政府による米大統領選干渉疑惑をめぐって、米連邦捜査局(FBI)はトランプ大統領の娘婿であるクシュナー大統領上級顧問を調べていると米紙ワシントン・ポスト電子版などが報じている。また、先の大統領選のロシアの関与について捜査し、解任されたコミー前FBI長官の今後行われる議会証言に注目が集まっている。証言の内容によってはトランプ政権運営に対する懐疑的な見方が再び強まり、ドル売りが急速に広がる可能性もあろう。
【米4月コア個人消費支出価格指数】(5月30日発表予定)
30日発表の4月コア個人消費支出価格指数は、FRBが目標とする前年比+2.0%にどのぐらい近づけるか注目される。3月は+1.6%と2月の+1.8%から伸びが鈍化。市場予想を下回った場合、6月利上げ観測はやや後退し、ドル売りに振れそうだ。
【米5月雇用統計】(6月2日発表予定)
6月2日発表の5月雇用統計は、失業率が4.4%(前回4.4%)、非農業部門雇用者数は前月比+17.6万人(同+21.1万人)、平均時給は前月比+0.3%(同+0.3%)が市場コンセンサス。賃金上昇率が予想を上回った場合、利上げ期待が高まり、ドル買いが優勢となりそうだ。
・5月29日-6月2日に発表される主要経済指標の見通しについては以下の通り。