国際情報

日本統治の痕跡消したがる韓国に、日本家屋守る韓国人もいる

韓国人女将が切り盛りする「つくし」

 ソウルにおける和風居酒屋の草分けの一つに「つくし」という店がある。ソウル駅の次の南営駅近くにあって、オープンから約20年になる。ソウル駅前から漢江に向かう大通りを「龍山(ヨンサン)路」というが、店は南営駅前の龍山路をちょっと脇に入ったところにある。軒下に赤提灯をぶらさげ、ソウルでもっとも日本的な雰囲気の居酒屋である。

 筆者はこの店を「文化財だよ!」といって、在ソウル日本人はもちろん韓国人たちにもPRしてきた。というのは、店の建物が今やソウルでは数少ない日本統治時代の日本人民家の名残だからだ。

 築80年の木造2階建てで、この間、手が加えられ原形は多少崩れているが間違いなく日本家屋なのだ。その証拠に、店に入ると左奥の壁際に階段があり、それをトントンと上がると2階は6畳一間で、床の間や押入れ跡がある。2階は数年前までは畳部屋だったが、今は畳はない。

 日本統治時代にどんな日本人が住んでいたかは分からない。ただ、ソウル駅の先の龍山一帯には当時、朝鮮軍司令部があり軍関係者が多く住んでいた。また南営駅の次は龍山駅で、軍関係中心の広大な操車場があり、鉄道関係者も多くいた。

 龍山駅は朝鮮半島を北上して満州に繋がる物流の拠点でもあった。それやこれやで龍山は日本人が多く住む“日本人街”だったのだ。

 現在、ソウルからは日本統治時代の建物がほとんど消えてしまった。京城駅(現ソウル駅)や朝鮮銀行(現韓国銀行貨幣金融博物館)、京城府庁(現ソウル市庁)など大きな建物は一部保存されたが、日本風民家は都市再開発のあおりでほとんど目にしなくなった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
「What's up? Coachella!」約7分間、圧巻のパフォーマンスで観客を魅了(写真/GettyImages)
Number_iが世界最大級の野外フェス「コーチェラ」で海外初公演を実現 約7分間、圧巻のパフォーマンスで観客を魅了
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
天皇皇后両陛下、震災後2度目の石川県ご訪問 被災者に寄り添う温かいまなざしに涙を浮かべる住民も
天皇皇后両陛下、震災後2度目の石川県ご訪問 被災者に寄り添う温かいまなざしに涙を浮かべる住民も
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン