「監督は何もせず選手が勝手に動くのが理想」

「ここ数年、OBの間でチームを危惧する声が上がっていました。自主練だからと、派手な服装で帽子もかぶらずにグラウンドに出る選手がいる。それを一から正さなくてはならない。

 彼らにまず、なぜいけないのかを教える必要がある。命令するのは簡単です。でも自分で考えて行動できるようにならなければ意味がない。早稲田野球部の本来あるべき姿を取り戻すこと。勝敗以前にそれが新監督として求められていることだと理解しています」

 1月5日の新年初練習。笑いながらランニングする選手に監督が注意する一幕があった。翌日のスポーツ紙には「初カミナリ」の記事が載った。

「あれにはビックリしましたね。あれで騒ぎになるなら、本当のカミナリが落ちたら感電するぞってね(笑い)」

 現役時代のプレーや、解説者時代の言葉から、小宮山に理論派のイメージを抱く人が多いだろう。実際、彼はメジャーリーグの最先端野球にも造詣が深い。そして無駄な練習を極端に嫌う合理主義者だ。ただ、その一方で精神的な強さを重視する根性論者でもある。

「ええ、私の野球は根性野球ですよ。人よりも歯を食いしばって頑張ったヤツが最後に勝つと思っています。

 昭和の野球? いや、それを時代でくくってはいけないと思う。すべての勝負事の根本にある普遍的な概念です。その土台に最先端の科学的な要素をどれだけ上積みできるのか。それで勝負が決まるというのが私の考えです。野球の現場は、ヘラヘラしながら勝てるほど、甘い世界じゃないんですよ」

「早稲田の監督になったのは運命という宿命」と語る

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