国際情報

イラン ホルムズ海峡封鎖で「令和のオイルショック」到来か

攻撃を受けた日本の国華産業が運航するタンカー。左の矢印は爆発で損傷した箇所を示す(米中央軍提供。時事通信フォト)

 中東のホルムズ海峡近くで日本のタンカーなどが攻撃を受けた事件で、イランが関与したと断定しているトランプ米政権は、この6月17日、中東地域に約1000人の米兵を追加派遣することを決めた。イランの反発は必至で、中東情勢はますます緊張の度合いを高めている。

 イランにとっての“伝家の宝刀”は、「ホルムズ海峡の封鎖」だ。ホルムズ海峡は中東産の原油や天然ガスを運び出す大動脈のような重要ルートで、世界消費の2割に相当する日量約1700万バレルの石油がタンカーに載せられて通行している。ここが封鎖されると、エネルギー資源の供給量が不足し、原油や天然ガスの価格が高騰して世界経済は大混乱に陥る。

 ホルムズ海峡の一番狭い地域は幅が約33kmだが、水深の問題でタンカーなどの大型船舶が通行できるのは約6km。1991年の湾岸戦争では実際に機雷敷設による海峡封鎖が行なわれた。現在は米海軍が展開して警戒しているので封鎖は困難とされるが、いざアメリカとイランの間で紛争が始まれば、何が起きるか予測はつかない。

 日本にとってもホルムズ海峡は生命線である。日本は原油と天然ガスのほぼ全量を輸入に頼っているが、原油の中東依存度は87%(2017年)でほとんどがホルムズ海峡を通過して運ばれている。液化天然ガス(LNG)の中東依存度は20.8%(同年)、およそ5分の1である。

 日本は原油を全面的に中東に依存しているので、ホルムズ海峡が封鎖されれば“石油危機”が起きそうだが、実はそうはならない。エネルギーアナリストの石井彰氏はこういう。

「原油については日本全体の使用量の半年分以上が備蓄されているし、取引市場でスポット(現物売り)で購入もできる。封鎖が数年も続けば大変な事態になるが、そこまで続くことはないでしょう」

 仮に封鎖が実施された場合、アメリカも中東から原油を輸入しているので(中東依存度は21.8%)、放置することはありえず、イラン海軍と米海軍の実力差を考えれば早期に解除されるはずである。

 むしろ問題はLNGである。

関連キーワード

関連記事

トピックス

元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬の宮城野親方
元・白鵬の宮城野部屋を伊勢ヶ濱部屋が“吸収”で何が起きる? 二子山部屋の元おかみ・藤田紀子さんが語る「ちゃんこ」「力士が寝る場所」の意外な変化
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン