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2010.09.28 15:10  SAPIO

雑誌でSEX特集乱発 団塊世代に「夢よもう一度」もたらす?

 男性週刊誌でも、女性誌でもセックス特集が花盛りだ。街を歩けばあらゆるところでSEXの文字が目に入ってくる。ラジオ局AD、作詞家などを経て、コンピュータ関連の記事を中心としたテクニカルライターであり、コラムニストとしても活躍中の小田嶋隆氏はこの状況を「なんとも気味の悪い時代になった」という。同氏がセックス特集ブームを斬る。

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 言葉を選ばずに言えば、本来、日本における性行為は「ヤル」という2文字だけで表現される排泄欲求であり、手間や手順をかけるものではなかった。しかも個室にて1対1で行なうプライベートなものであったのに、急激にパブリック化が進んでいる。

 かつてはこっそり読むのが当たり前だったセックス特集記事が、今では堂々と表紙にタイトルが躍り、電車の車内広告にもセックス関連の単語が溢れかえる。『an・an』『婦人公論』といった女性誌でもセックス特集は花盛りだが、状況は男性誌と変わらない。むしろ男性誌以上にパブリック化が進んでいるのかもしれない。バイブやローションといった大人のオモチャを「愛の小道具」として臆面もなく紹介している雑誌もある。

 男女を問わず、いい大人がこのセックスブームに煽られてしまっている現状は情けないの一言に尽きるが、興味深いのは、この傾向は世代によって強弱があるということだ。世代論は好きではないが、性に関しては妥当だろう。

 戦前は「女は夜出歩くな」「嫁入り前の娘が男と付き合うな」という封建的な抑圧が強かった。それへの反発として団塊の世代から性情報の氾濫が始まった。団塊世代は、自分が性に奔放であることを隠さず、むしろ強調する。派手な異性関係は誇ることであり、周囲も羨望の対象として見ることはあっても、軽蔑はしない。この世代は戦前の封建的な社会から解放され、「自由な性」を評価する世代だ。

 しかし自由な性といっても、結局、肉体的負担などで損をするのは女性だけだという認識が広がり、次の世代は性に対して保守的になった。私の世代だ。私たちは、性に奔放であることは品のないことだと冷めた目で見てしまう世代なのだ。

 さらにその反動が次のバブル世代に生じる。団塊世代と似た状況になり、ボディコンを持てはやした。そしていま、バブル世代への反動が不況とともに現在の若い世代を覆っている。彼らが「草食系」であるのも自然な流れだろう。

 このように考えると、いま蔓延するセックス特集が、団塊とバブル世代の中高年を対象とした雑誌に多いことも当然である。『夢よもう一度』という希望を与えているとも読み解ける。
※SAPIO2010年9月29日号

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