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2010.09.28 17:33  SAPIO

警察の特殊急襲部隊「SAT」入隊のあまりにシビアな試験内容

 1995年の全日空機ハイジャック事件で初めてその存在が知られた特殊急襲部隊「SAT」。一体どんな人が隊員になれるのか。元警視庁特殊部隊員で現在はセキュリティコンサルティングや刑事ドラマや映画の監修を行う伊藤鋼一氏に聞いてみた。
 
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 SATの新入隊員は、6か月にわたる試験入隊訓練を受けることになる。2期生として試験入隊したのは私を含め7名で、巡査隊員が4名、巡査部長隊員が3名だった。初日に機動隊出動服に着替えて集合すると、小隊長から「2日間の予定で体力テストを実施する」と告げられた。
 
 テスト種目は、1日目に握力測定、懸垂、腹筋運動、腕立て伏せ、立ち幅跳び、土のう搬送、砲丸投げなどの他、100m走である。たとえば懸垂は、標準回数は15回だが、前もって知らされておらず、訓練担当小隊長からは「極限までやれ」と言われる。他のテストも同様で、すべて極限までである。心の準備もないまま全力のテストを次々に実施され、1日目のテストが終わった頃にはみな疲労困ぱいだった。
 
 2日目はけん銃操法検定を兼ねたテスト。2期生の7名は全員がけん銃検定の初級だったので、隊員選抜の条件にけん銃の技能は入っていないと考えられる。上級検定には「早撃ち種目」がある。的が7秒間隠れた後、3秒間現われるので、その間に下に向けていた銃を片手で構えて20m以上離れた的に照準を合わせ撃たなくてはならない。私はこれが苦手で、上級合格までその後6か月もかかってしまった。
 
 こういった体力テストやけん銃検定は、正式入隊後も毎月1回、いくつかの種目が選ばれて実施される。各種目で標準ポイントを下回れば即転属、というわけではない。普段から自主的にトレーニングを積み、一定の水準を保つことが求められているわけで、要するに自己管理能力が問われるのである。
 
 入隊後に聞いた話だが、前述の試験入隊テストもテスト結果は重視されず、全力で取り組む覚悟があるかどうかを見定めるのが目的なのだという。SAT隊員に選ばれるには頭脳も体力も優秀であることが大前提だが、試験で試されるのは危険な任務にも全力で立ち向かう覚悟と、自己管理能力ということだ。 

※SAPIO 2010年9月29日号

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