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最強特殊部隊「SAT」 警視庁SATが国内最強と専門家語る

 警察組織の「最強部隊」とも言われる特殊急襲部隊「SAT」。現在8都道府県に創設されるも、実力差や態勢差があるのだという。元警視庁特殊部隊員で現在はセキュリティコンサルティングや刑事ドラマや映画の監修を行う伊藤鋼一氏が語る。

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 1996年に正規部隊として発足した時に、警視庁と大阪府警以外にも新たに北海道警、千葉県警、神奈川県警、愛知県警、福岡県警(後に沖縄県警)にSATが創設されてから、SATの出動機会は増えている。

 2000年に起きた西鉄バスジャック事件では、福岡県警と大阪府警のSATが出動し、特殊閃光弾を使用して、広島県警機動隊の突入を支援した。2007年4月に東京都町田市で起きた暴力団員による立てこもり事件でも警視庁SATの狙撃班が出動している。
 
 しかし、大きな問題になったのが2007年5月に起きた愛知長久手町立てこもり発砲事件である。負傷した巡査部長の救出作戦で、後方支援にあたっていた愛知県警SATの隊員が被弾し死亡した。SAT隊員の殉職はこれが初めてだが、もし警視庁SATが出動していればこのような事態にならなかったのではないかと思わずにいられないのである。
 
 警視庁と大阪府警以外のSATは20~30名規模で、歴史も浅く、練度の面から考えても警視庁SATには及ばないのが現実である。警視庁SATは倍以上の態勢で、突入を行なう制圧班から後方支援を行なう狙撃支援班や技術支援班などで構成され、組織として自己完結している。
 
 出動現場においては、手信号や無線符号、アイコンタクトを使ったコミュニケーション技術が重要で、これは日常の訓練を通じて隊員相互で体得するしかない。だから、各県警のSATと合同で作戦を遂行するのは難しいのである。
 
 かといって、地方での事件に警視庁SATが出動しても、地方自治体の警察権を侵害することになるので主体的に行動することはできず、あくまで指導・支援に回るしかない。こういった縦割りの矛盾を抱えているのが、現在のSATという組織と言えるだろう。 

※SAPIO 2010年9月29日号

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