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駐車場無料のマンション 規約変更で有料になることもある

 竹下正己弁護士の法律相談コーナー。今回は、「駐車場が無料だったから購入したマンションなのに、有料にされてしまいました」と、以下のような質問が寄せられた。

【質問】
 駐車場の料金が無料だというのでマンションを買ったのですが、その後、駐車場の使用が有料になりました。マンションの修繕積立金を増やすためという理由です。料金が無料なのでマンションを買った者としては、納得できません。管理組合の決定ではどうしようもありませんか。

【回答】
 マンション敷地内の駐車場使用を管理組合が有償にしたのであれば、了承せざるを得ない場合もあります。住民全員が駐車場を使用しているのであれば、同じ金額または平等な割合の金額で有償になったのでしょう。

 この場合、修繕積立金増額とセットになった、共用部分の管理に関する事項であり、管理組合の総会で過半数の賛成があれば有償にできます。仮に管理規約で「駐車場は無料」と定められていても、4分の3以上の賛成が得られれば、規約を変更して有償にすることができます。管理組合がこうした手続きをして支払いを求める以上、あなたには支払う義務があります。

 しかし、マンション分譲時に一部の購入者にのみ駐車場の専用使用権を与えていたような場合は、別の検討が必要です。マンション法(正式には「建物の区分所有等に関する法律」)で、「規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によってする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない」と規定されており、特別の影響がある変更を加える場合には、その同意が必要です。

 この「特別の影響」とは、変更等の必要性及び合理性と、これによって一部の区分所有者が受ける不利益とを比較考量し、当該区分所有関係の実態に照らして、その不利益が区分所有者の受忍すべき範囲を超えている場合に認められます。

 専用使用権の当初支払い対価、使用期間、近隣駐車場料金の推移、敷地価格や公租公課の変動、維持管理費用等の諸点から見て、有償化決議の額が社会通念を超えている場合、その超えた範囲が無効になります。

※週刊ポスト2011年3月18日号

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