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2011.07.29 07:00  週刊ポスト

小松左京氏 阪神大震災時のTVによるヘリ空撮に疑問抱いてた

 SF作家の草分けで、ベストセラー『日本沈没』などを著した小松左京氏が、7月26日に亡くなった。80歳だった。そんな小松氏は、1995年、阪神大震災直後のインタビューで、首都圏で大地震が起こった場合どうなるか、そのシミュレーションを語っていた。(週刊ポスト1995年2月3日号より)

 * * *
 今回(阪神大震災)と同程度の地震が東京を襲ったとしたら、どうなっていたでしょうか。

 関西に比べ防災体制は整っているとはいえ、今回は神戸の高速道路の崩壊やウォーターフロントでの液状化現象など、起きないだろうといわれていたことが、すべて現実に起きてしまった。これでは従来のシミュレーションをやり直す必要が出てきたのではないでしょうか。

 なぜビルが倒れたのか、なぜ大火が発生して延焼が食い止められなかったのか。問題はたくさんあります。防災シミュレーションは、今回のような貴重な体験が生かされなければなりません。

 たとえば、報道にしても、今回は全体の被害状況、具体的な被災地、被災者の実態などがリアルタイムで伝えられるというそれなりの功績はありました。その反面、現場の状況をヘリで空撮したり、生き埋めの救出作業を実況するばかりで、自動車がどの経路を迂回すればいいのかとか、どの地域にはどこを行けばいいのか、避難所はどこかといった情報が伝えられない問題点があった。ワイドショー化したテレビの欠点が露呈した形になりました。

 もちろん、現場の状況がリアルタイムで伝えられることで、ヤジ馬を極力少なくすることができるなど、混乱を抑える効果はあったわけで、精力的に報道が行なわれた点は評価できます。

 しかし、それも配給権のある東京のキー局が、災害で壊滅状態になった場合、果たして今回のような報道姿勢を地方局でとれるか。これも整備されるべき点でしょう。

 わたしの作品の中に『首都消失』というのがありますが、これは東京一極集中に対して問題提起したもので、通常国会会期中に東京が完全にブラックアウト(交通・通信不能)になったらどうなるか、というものでした。

 小説の中では、大阪の万博跡地の迎賓館に、全国知事会議を招集して臨時政府を置くという設定でしたが、実際、今回のような地震が首都圏を襲い、首都機能がマヒしたらどうなるのでしょうか?

 金融にしても、関西の地震で北浜の証券取引所での立ち合いが中止され、その影響が為替、相場に反映する。それが東京ならどうなるか。また、皇室問題はどうなる、などさまざまなケースが想定できます。あらゆる意味でのシミュレーションが必要でしょう。

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