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2011.09.30 15:59  週刊ポスト

ストリップ芸人 幼少期は「獣姦ショー」のポニーに乗って遊ぶ

「ストリップ最後の幕間芸人」。ストリッパーの母から生まれ、楽屋で育ち、小屋を見続けた。ストリップを取り巻く男・松本格子戸の深淵を作家の山藤章一郎氏が描く。

 * * *
「よく聞いてくださりました。私、京都駅から歩いて10分ほどの〈デラックス東寺〉いう京都のストリップ劇場で生まれまして。

 はい、43年前の12月1日に。惜しかった。前日30日までが〈出産ショー〉の10日間興行で。私のおかん、この10日間に陣痛きたら、即〈出産ショー〉で出産でした。舞台で赤ちゃん生まれる瞬間見せる。私、その赤ちゃん。

 ところが18歳のおかんの腹が間に合わんかった。30日の興行終わって翌朝の4時、ご誕生です。8時間ほど遅かった。楽屋に産婆さん駈けつけて、オギャーです。

 芸人は舞台で死ねたら本望や、いいますけれど。私はあとちっとで、舞台で生まれるとこやった。これはめったにおらんでしょ。惜しい芸人です。

 それから、わしも大人になりまして、はい、よく聞いてくださりました。めぐりあわせやな、〈デラックス東寺〉に何度も出演した。昔を知る従業員さんいうんです。

「おまえみたいな幸せもんはおらんぜ。母親の腹の中からこの小屋を見とる」と。

 60年ほどつづく名門中の名門劇場です。客席の頭の上に大きな透明アクリル板渡して、そこでレズのカラミショー。お客は、下からモロ見で。首も頭も疲れるが、全国からニシンみたいにお客さん押し寄せてきた。新しい趣向はここから始まるいわれた小屋です。

 で、おかんはここを拠点に、各地のストリップ小屋を10日周期で転々とした。子育ては楽屋です。

 まわりは、裸のネエちゃんと背中に鯉の滝登りや観音さん彫ってるニイちゃんばっかり。やってることは1日中、麻雀、花札。

 となりに、ポニーやヤギや、でっかい犬が、のそのそごそごそ。これがステージの主役、いまじゃ即逮捕の〈獣姦ショー〉の大スターさんです。私のおかん、これ相手にしてた。ポニーは小さい馬です。ところが、棒はでかい、長い、ぶとい。おかん、この棒挿入。大変な仕事をして私を育ててくれたですよ。

 私いうたら、この馬ん背中に乗って『ハイどうどう』。はあ? 父親? それは知りません。客かなんかやったのか。まあ、幸せなよき時代であります。ぼく、はいそれで、15の歳まで楽屋で育ち、因果めぐって、日本最後のストリップ芸人と呼ばれ…派手な格好、これこの通り」

※週刊ポスト2011年10月7日号

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