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2011.10.08 15:59  週刊ポスト

性をエンターテインメント化した『微笑』『新鮮』の功績

 美しいブロンド美女が微笑む雑誌の表紙をめくると、「夫も乱れるペニス愛戯カード~あなたの口で、指で、乳房で…彼が夜通しイキリ立つ62技法」という文字が飛び込んできた。観音開きのページを開くと、冒頭の写真。「彼の『長さ測定棒』と口使い」「彼の『太さ測定唇』と呑み込み舌使い」。

 かつて、淑女たちの間で絶大な人気を博した『微笑』と『新鮮』(ともに祥伝社刊)。1970年代前半から1990年代半ばにセンセーションを巻き起こし、美容室や病院、銀行などの待合い席に、必ず置かれていた。女たちは銀行で順番待ちをしながら、傍らの『微笑』に手を伸ばしページを繰りながら“微笑”していた。

 隔週刊誌『微笑』が産声をあげたのは、今から40年前の昭和46年4月。当時セックスはまだまだタブー。夜の営みは文字通りの「秘め事」だった時代に、“ペニス”“ヴァギナ”“オナニー”といった単語が誌面に躍っていた。

「結婚だけを幸せのゴールに置かず、男女の真の愛をいちばん大切なものと考える人。また家庭に閉じこもらない行動的な女性たち」のために、「女性たちよ、立ち上がれ!」とエールを送った。

 1960年代後半から、アメリカを起点に世界中に伝播したウーマン・リブ(女性解放運動)の追い風もあってか、『微笑』は女性たちが胸に秘めていた欲望に火を点けた。雑誌文化に詳しい評論家の亀和田武氏が振り返る。

「『微笑』の創刊時、僕は大学生でした。記事の内容ははっきりいって男性目線です。そんな過激な内容が、当時の女性に受け入れられたことに何よりも衝撃を受けました。性の取り上げ方もユーモラスでした。切実に性を考えるのではなく、“性をエンターテインメント化する”という余裕があった。

『男が歓喜するサオ舐め法』といった言葉を繰り返すことで、独自のカラーを見事に浸透させた。当時の『平凡パンチ』や『プレイボーイ』のような男性誌でさえ、かっこつけて手を出さなかったような企画ばかり。

 また、『微笑』が面白いのは、芸能情報や政治の話題も多く取り上げていたことです。当時も今と同じで、メディアは大きな芸能プロダクションとのパイプを大切にするために、エグイ芸能情報は取り扱わない。しかし、『微笑』はここでも型破りでした。『仰天告白シリーズ』とかね。芸能人やスポーツ選手と付き合ったという女性が出てきて、克明に語らせていた」

『微笑』の人気を背景に、昭和53年6月には姉妹誌も創刊される。その名も月刊誌『新鮮』。 「男と女の冒険性技150実習ブック」「妻と夫の“性器接吻”躍進カード」といった実用的な付録がたちまち大きな話題となった。

 理屈ではなく、具体的な実践方法をビジュアルで提示した『新鮮』。例えば、付録のペニスゲージでは男のサイズを「大ぶり」「標準」「小ぶり」の3つに分類。自分の男がどのサイズに当てはまるかを確認した上で、添えられた10の解説文で、パーツごとの細かい「舐めどころ」を知ることができる。

「ヘルメット下のクビレはとがらせた舌でクイっとひっかけて」
「尿道口は唇をすぼめて、割れ目にそって舌先でトントンと叩く」

 まだ男女雇用機会均等法もなかった時代に、女性が男性の「サイズ」を測っていたのだ。『新鮮』は昭和61年に、『微笑』は平成8年に休刊を迎えるが、この系譜を継いだ女性誌はいまだ現れない。

※週刊ポスト2011年10月14日号

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