スポーツ

シャラポワうなり声100デシベル 地下鉄車内騒音並みの是非

「ボールの速度が正確に判断できない」と、マリア・シャラポワ選手のプレー中のうなり声に、世界1位の女子トップ選手がクレーム。プレー中の「声」をルールで禁止すべきなのかどうか。作家で五感生活研究所の山下柚実氏の視点は、こうだ。

* * *
女子テニス界のスター、「ロシアの妖精」マリア・シャラポワ。彼女が球を打つときのうなり声が、今、問題になっています。

苦情を訴えているのは、女子プロテニスで世界ランク1位のキャロライン・ウォズニアッキ選手。

シャラポワ選手が発するうなり声で、「ボールの速度が正確に判断できない」とウォズニアッキ選手は苦情を述べ、「意図的に大きな声を出す選手もいる、禁止すべき」と訴えた、とテレビで報じていました。

シャラポワ選手のうなり声を計測すると、100デシベルを超えた。その音量はなんと、地下鉄の中の騒音に匹敵する、とのこと。

たしかに剛速球でラインギリギリにサーブを打ち込まれ、しかも巨大なうなり声がボールに被さるとすれば、相手はたまったものではないでしょう。

シャラポワのうなり声は、はたして意図的に出されているのか。それとも全身全霊でサーブを打ち込む時、自然に発してしまう気合いのようなものなのか。

テニスが品性を問うスポーツだとしても、プレー中の「声」をルールで禁止すべきなのかどうか。議論は分かれるところです。

スポーツは、人間の理性を超えて、身体の力を直に表現する野性的な行為でもある。そう定義すれば、勝負にとって有利になるような質の「声」「音」を発することもまた、アスリートの、生な力の一つではないでしょうか。

興味深いことは、シャラポワの声が間違いなく相手に脅威を与えている、という事実です。言葉の「意味」や「内容」だけでなく、「声」の響きや振動によっても、人の心理は大きく影響される。

そうした見えない「武器」を、彼女自身が自覚しているかどうかは別にして、上手に使っている。「声によるマインドコントロール」が、テニスという戦いの中に潜んでいる、ということが浮き彫りになりました。

声は人をコントロールする。時に、政治の世界でも異様な力を発揮する「声」「音」。その一例はアフリカにもありました。ルワンダの虐殺はラジオの音楽番組によって煽りたてられた、と『サウンドコントロール』(角川学芸出版 伊東乾著)という本は解き明かしています。

私たちの生活の中にも、いろいろと見えないシーンにおいて「音によるマインドコントロール」が潜んでいる、と考えられるのではないでしょうか。

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン