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連載特別編 角打ち信者が一度は呑みに行きたい「総本山」

男の井戸端会議の場 赤壁酒店


■市場の中の行きつけの店で、利き酒風角打ち

 牧野氏が、故郷の角打ちにのめり込んで5年。今やお気に入りの店のひとつとなっているのがここ『赤壁酒店』だ。
「北九州の台所と称される、旦過(たんが)市場のなかを歩いて、緑色ののれんをくぐると、地元の酒や郷土料理のつまみが味わえる。これが楽しいし、うまいんです」(牧野氏)

 息子さんとともに店を切り盛りするのは、4代目の森野秀子さん(59)。
「終戦直後の昭和20年に、近所からここに移ってきたの。材木がないから、小倉の練兵場にあった馬小屋の材木を払い下げてもらって、店を建てたみたいね」

 移転と同時に角打ちも始めたという。
「昔は、工場や土木関係のお客さんがほとんど。最近はサラリーマンが増えたわね。あとは、小倉競輪で負けちゃったお客さん。さすがに最近はそうでもないけど、アリの大群みたいに押し寄せた時代もあったんだから」(秀子さん)

 今月のお勧め銘柄も含めて、角打ちできる日本酒のリストが、カウンター越しの壁に貼ってある。まず県内でしか飲めないという古賀市の地酒・稲田重造(いなだしげぞう)の純米大吟醸など、約20銘柄。どれも、半分といって、0.5合だけでも飲めるようになっている。

「これなら、利き酒感覚で、たくさんの銘柄を気軽に飲めるでしょ」(秀子さん)
 さすが、角打ち発祥の地である。

 つまみメニューには、赤壁ファンに強く支持されているおでん、焼き鳥、天ぷらなどが並ぶ。そして、郷土料理の代表、サバの糠味噌炊き。これがあることで、安くて贅沢な角打ちがさらにもう一段、盛り上がる。

「この店は、男の人の井戸端会議の場だと思っているのよ。お客さんには、そういう気持ちで来てもらえたらうれしいんだけど」(秀子さん)

■赤壁酒店
【住所】北九州市小倉北区魚町4-5-4
【電話】093-521-3646 
【営業時間】10時~19時
【定休日】日曜日
日本酒・『稲田重造』純米大吟醸1合600円、半分330円、『幻』1合650円、半分340円など。つまみは、サバの糠味噌炊き300円、天ぷら100~150円、焼き鳥1本100円。

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