ライフ

「熟女の時代」到来 若い層ばかりか年上の男たちも熱い支持

 最近“美熟女”が世の男性の支持を集めている。だがAV業界では27歳を過ぎれば熟女女優と呼ばれるように、「熟女」の定義と解釈は様々だ。そもそも“熟女”という言葉はいつ誕生したのか。

 性別越境の社会・文化史に詳しい、都留文科大学講師の三橋順子は指摘する。

「国会図書館で検索したら、1983年に沢田竜治が『熟女のたわむれ』、翌年に赤松光夫も『熟女志願』を出版しています。このあたりから徐々に“熟女”が性的な意味合いをもって登場し、1990年代から一気に浸透していきます」

 三橋氏は熱っぽく続けた。

「その歴史的ターニングポイントになったのが、1994年末あるいは1995年初頭に発刊され、10年近くも発行された雑誌『熟女クラブ』です」

 うむ。ならば『熟女クラブ』の関係者を訪ねよう。三和出版専務で同誌の編集担当重役だった松本裕氏だ。

「この雑誌は隔月刊で、最盛期に1万5000部のセールスを記録していました。私たちは熟女を35歳から50歳以下を目安にしていました」

 松本氏は、当時の熟女ファンを「母親に甘えたい、屈折した性欲と願望をもつ」と分析した。同誌はその後『超熟』という50、60歳代の熟女が登場する雑誌へ引き継がれ、現在も好セールスをキープしている。

 三橋氏がその点を踏まえて語る。

「熟女ファンのコア層は『熟女クラブ』的な、年齢を重ね肉体のラインが崩れた“20世紀末型熟女”に性的魅力を覚えます。ところが21世紀初頭に、美貌と肉体美を備えた中年女性“美魔女”が登場します」

 その先駆けが2004年に『花と蛇』で主演した、当時36歳の杉本彩。彼女は“21世紀初頭型熟女”の典型だ。ちなみに五月みどりが『かまきり夫人』に主演したのも36歳だった。さらに彼女は1983年に、中森明菜の大ヒット曲『少女A』に対抗し、『熟女B』を発売している……。

「杉本と五月では性フェロモンの質が決定的に異なります。現在の熟女マーケットは年増や夫人、老嬢を呑みこみ、さらには20世紀末型と21世紀初頭型の2パターンの熟女が混在することで、一段と活発化し、その定義も複雑化しているのです」

 今や熟女好きは、若い層ばかりか、彼女たちと同年輩や年上の男たちも同じ。「熟女の時代」が到来した。

※週刊ポスト2012年3月30日号

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン