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いじめやめさせるには痛み伴う身体的反応が効果的と脳科学者

『ホンマでっかTV!?』(フジテレビ系)でおなじみの脳科学者・澤口俊之さんが「いじめ」について脳科学の観点から分析した。以下は澤口さんの解説だ。ここでは「身体的反応」がキーとなるのだという。

 * * *
 いじめが起こりやすい思春期は、性ホルモンや脳発達の観点からみてもかなり特殊な時期で、いじめは“拙い社会関係”の中で引き起こされます。

 実は、私自身も小学生から中学生にかけて、いじめをしてしまった経験があり、またいじめられた経験があります。

 特に、中学のときは悲惨でした。数人に囲まれて殴られたこともありました。意外かもしれませんが私はケンカが強いほうで、決闘的な対応をしていました。

 その結果、いわゆる“不良連合”に属すようになりました…。昔の不良は弱い者いじめをしないというルールがあったのですが、一度だけ、その禁を犯したことがあります。

 そのとき、まず同級生の女子から「弱い者いじめする澤口君なんて最低!」と強く罵られたことで、心の(精神的な)痛みを負いました。また、それを聞きつけた兄(非常に腕っ節が強い)から、「調子に乗るな」と“ボコられ”ながら叱られたことで肉体的な痛みを受け、「いじめ」が悪いことであると心底、それはもう身をもって知り、すぐにいじめをやめることができました。

 私はこうした個人的な体験に加え、脳科学の視点から、「情動体験」こそが、いじめの特効薬だと思っています。

「情動」とは、怒り、喜び、悲しみ、驚きなどを指します。そして情動体験とは、何かを見たり感じたりした瞬間、感情が急激に喚起することをいい、一過性の、比較的強力な感情体験です。

 情動のメカニズムは、「悲しいから泣くのではなく、涙が出るから悲しい」と唱えるジェームズ・ランゲの説が有名です。精神への影響に身体が反応するのではなく、身体的反応こそが情動体験を引き起こすというわけです。つまり、いじめをやめさせるには、この「身体的反応」が効果的なのです。

 そして身体的反応を感じさせるには、その人間に外部からの刺激、つまり、痛みを与えなくてはなりません。簡単にいってしまうと、子供が悪いことをした場合、“体罰”で教えるのです。ただし、これはあくまで論であり、虐待が問題になっているいまの時代に、そぐわないことは承知しています。

 ただお叱りの声があるかもしれませんが、子供が何か罪を犯したとき、親が本気で子供と向き合っているなかで、子供にある種の“痛み”を与える必要性はあると思います。

※女性セブン2012年8月23・30日号

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