国際情報

ソニーやパナソニックも買収される可能性を大前研一氏が指摘

 台湾のエレクトロニクス企業・鴻海精密工業を率いる郭台銘(テリー・ゴウ)会長が、「今のおたくの株価なら、うちはシャープ本体を丸ごと買収することだってできるんですよ」と、シャープ幹部にすごんでみせたという(『日本経済新聞』電子版8月25日付)。大前研一氏も台湾勢らによる日本企業の買収攻勢は続くと見ている。

 * * *
 この先、凋落した日本のエレクトロニクス企業は、台湾企業か韓国企業による買収攻勢に晒されるだろう。おそらくシャープは獰猛な鴻海の郭会長にかき回され、冒頭の言葉通り丸ごと買収されるのではないか。

 半導体大手のルネサスエレクトロニクスや富士通の半導体部門は、やはり台湾のファウンドリ(半導体受託製造)で世界最大手のTSMC(台湾積体電路製造)による買収が濃厚だと思う。

 TSMCの張忠謀(モリス・チャン) 会長は「台湾半導体産業の父」とも呼ばれる温厚な人物なので手荒なことはしないだろうが、自動車向けマイコンで4割のシェアを持ち、顧客の細かい注文通りに設計できるエンジニアが大勢いるルネサスは魅力的なはずだ。ルネサスがさらに窮地に追い込まれて時価総額が下がり、熟柿が落ちてくるのを待っているに違いない。

 そしてソニーの買収に名乗りを上げるとすれば、サムスン電子だろう。

 なぜならソニーにはサムスンにない映画、音楽、ゲームなどのソフト部門があり、事業ポートフォリオがずれているからだ。しかも、ソニーのボリュームを取り込んでサムスンのコスト構造にしたら、すぐに利益が出る。技術力も高い。サムスンにとってソニーは魅力的な会社だと思う。

 残る“売り物”はパナソニックだが、買収する可能性があるとすればLGぐらいだ。

 パナソニックはテレビなどのブラウングッズ(AV機器)は赤字だが、白物家電はまだ利益が出ている。LGは白物家電でスウェーデンのエレクトロラックス、アメリカのワールプール、中国のハイアールと世界シェアを争っている。欧米や途上国では強いが、日本市場では全く売れていない。これから世界でサムスン相手に戦っていくためにパナソニックを買収するというのは悪い戦略ではないだろう。

※SAPIO2012年8月22・29日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
水原一平容疑者は現在どこにいるのだろうか(時事通信フォト)
大谷翔平に“口裏合わせ”懇願で水原一平容疑者への同情論は消滅 それでもくすぶるネットの「大谷批判」の根拠
NEWSポストセブン
大久保佳代子 都内一等地に1億5000万円近くのマンション購入、同居相手は誰か 本人は「50才になってからモテてる」と実感
大久保佳代子 都内一等地に1億5000万円近くのマンション購入、同居相手は誰か 本人は「50才になってからモテてる」と実感
女性セブン
宗田理先生
《『ぼくらの七日間戦争』宗田理さん95歳死去》10日前、最期のインタビューで語っていたこと「戦争反対」の信念
NEWSポストセブン
焼損遺体遺棄を受けて、栃木県警の捜査一課が捜査を進めている
「両手には結束バンド、顔には粘着テープが……」「電波も届かない山奥」栃木県・全身焼損死体遺棄 第一発見者は「マネキンのようなものが燃えている」
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
ムキムキボディを披露した藤澤五月(Xより)
《ムキムキ筋肉美に思わぬ誤算》グラビア依頼殺到のロコ・ソラーレ藤澤五月選手「すべてお断り」の決断背景
NEWSポストセブン
(写真/時事通信フォト)
大谷翔平はプライベートな通信記録まで捜査当局に調べられたか 水原一平容疑者の“あまりにも罪深い”裏切り行為
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン
眞子さんと小室氏の今後は(写真は3月、22時を回る頃の2人)
小室圭さん・眞子さん夫妻、新居は“1LDK・40平米”の慎ましさ かつて暮らした秋篠宮邸との激しいギャップ「周囲に相談して決めたとは思えない」の声
女性セブン
いなば食品の社長(時事通信フォト)
いなば食品の入社辞退者が明かした「お詫びの品」はツナ缶 会社は「ボロ家ハラスメント」報道に反論 “給料3万減った”は「事実誤認」 
NEWSポストセブン