日本では1980年代にブランド展開を開始し、世界でもっとも売れているたばこの銘柄がある。マールボロだ。
今年5月、マーケティング会社ミルウォード・ブラウンが発表した世界の企業のブランド価値ランキングにおいても、1位:アップル、2位:グーグルと上位10社中7つをそうそうたるIT関連企業が占めるなか、マールボロは7位の座を獲得している。
順位は昨年から上昇、しかも、そもそもの社名であるフィリップモリスをおさえて、ブランド名が高く評価されている。その原動力となる要因のひとつが、実は日本にある。
フィリップ モリス ジャパン マーケティングブランドスーパーバイザーの稲本早苗氏はこう語る。
「いま日本はマールボロ消費量が世界で一番のマーケットです(アメリカ、中国を除く)。したがって、新製品は本国ではなく、日本主導で製品企画が進んでいるものが多くあります。日本でまずテストをして、良かったものを海外へ。パッケージのデザインもこちらで進めています」
2008年に従来のマールボロのイメージを一新する、黒いパッケージのマールボロ・ブラック・メンソールが登場する。フィリップ モリス ジャパン マーケティングLAMPエグゼキューション イベントプロモーション スーパーバイザーの菊池裕一郎氏に聞いた。
「市場調査を行なうなかで、それまでは臭いがつきにくい、長く吸いたい、という声が2大トレンドだったんです。それが、5年くらい前から、もっと強いメンソールが欲しいという要望がじわじわと聞こえるようになってきました」
ブラック・メンソールは大ヒットとなり、マールボロのシェアは一気に2桁台にまで伸びた。
「日本の成人喫煙者は約25%くらいがメンソールスモーカーなんです。日本の場合、イベントなどで成人喫煙者に直接コミュニケーションを図るダイレクトコミュニケーションができたり、これからメンソール市場はますます拡大していくと思います。そうしたなかで、メンソールの中でたばこの深い味わいが欲しい、逆に軽やかなものが欲しい、そういったニーズが浮き彫りになってきました」(菊池裕一郎氏)
※週刊ポスト2012年8月31日号