スポーツ

缶コーヒーのオマケ「プロ野球外国人助っ人フィギュア」大人気

中年男性に人気の助っ人外国人フィギュア

 缶コーヒーのオマケがいま全国の中年男性を虜にしている。プロ野球の助っ人外国人フィギュアだ。なぜそんなに夢中になって集めてしまうのか。フリー・ライターの神田憲行氏が「元小学生男子」としてその魅力を分析する。

 * * *
 いま全国のおっさんたちを夢中にさせているフィギュアがある。缶コーヒーの「ジョージア ヨーロピアン ブラック無糖」が9月25日から始めたキャンペーンでオマケに付けた「プロ野球外国人助っ人フィギュア」だ。なにがおっさんをそんなに夢中にさせているかというと、その人選がシブイのだ。

 ランディ・バース(阪神)、ラルフ・ブライアント(近鉄ほか)、オレステス・デストラーデ(西武)、アニマル・レスリー(阪急)、ロバート・ローズ(横浜)、アロンソ・パウエル(中日ほか)、ウォーレン・クロマティ(巨人)、ブーマー・ウェルズ(阪急)の8人。80年代前半から90年代前半にかけて活躍した外国人選手ばかりなのである。近鉄、阪急、横浜と今は無い球団があるのもポイントが高い。

 大手新聞に務める38歳の男性は発売日当日にコンビニ6軒を回って全選手をコンプリート。

「クロマティを手に入れるのに時間が掛かりました。職場に並べて楽しんでいます」

 プロ野球ファンで知られる有名ブロガーの山本一郎氏は「これはまさしくおっさんホイホイ」という。

「毎日コンビニに通っていますが、入荷時間に合わせて買いに来るマニアがいるらしく、まだブーマーとパウエルしか入手できていません。全体的にパリーグ感溢れる人選が良いですね」

 発売元の日本コカコーラ株式会社の広報によると、

「商品のターゲットである30代40代の男性が子ども時代に輝いていたスポーツがプロ野球。そのなかで成績だけでなくインパクトのパフォーマンスなどで球団を超えた人気のある外国人選手たちを選びました。製作でも複数の写真からその選手の顔と姿を分析して造形していきました」

 担当セクションにはやはり「プロ野球ファンが多い」(広報)ようで、阪急の2選手はわざわざホームとビジターの2種類のユニフォームを着せ、アニマルの成績紹介では「投球回数69回(51回まで本塁打を許さなかった)」と注記するこだわりよう。担当のおっさんたち(たぶん)がキャッキャッしながら作っていたのが目に浮かぶ。また透明の袋に入っているので選手を選んで購入できるのも、かつて「仮面ライダースナック」で買っても買ってもゾル大佐で涙目になった経験を持つ元小学生男子だった我が身としては、大変有り難い。

 かくいう私もバース、デストラーデ、ブライアントで「夢のクリーンアップ」を作ってニヤニヤしているのだが、ふと、選手の向こうにある「時代への懐かしさ」に思い至った。バースが活躍していた80年代半ば、私は関西の大学生だった。将来に漠とした不安はあるものの、社会全体は無邪気に右肩上がりの経済成長を信じ、グローバリズムという得体の知れない空気とは無縁の「頑張れば何とかなる」という牧歌的な時代だった。プロ野球選手フィギュアとは、野球だけでなく時代を連想させるアイコンなのである。フィギュアを手に取って、その選手に夢中になっていた子どもの頃の自分の父親と今の自分が同い歳になっていることに気がついて、しんみりとした人もいるのではないか。

 とか考えていたら、今度はUCC缶コーヒーから「最強の艦艇コレクション」が始まってる!机の上がオマケのプロ野球選手と船で賑やかだ。缶コーヒー飲みまくりのおっさんの秋である。

 「プロ野球助っ人外国人フィギュア」キャンペーンはフィギュアが無くなり次第終了する。

関連キーワード

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン