ライフ

ダイエット効果報道でえのきバカ売れ 内臓脂肪26%減の人も

 秋の味覚として人気の高いきのこだが、特に今年は空前の“えのきたけ”ブーム。生産量全国1位を誇る長野県中野市では、例年にはない現象が起こっているという。

「地元産のフルーツやきのこを楽しむ“秋の味覚フェア”を開催したところ、例年は旬のフルーツを求めて訪れるお客様が多いのですが、今年はえのきが例年の5倍売れたんです」(JA中野市販売部・出川秀隆さん)

 うれしい悲鳴に聞こえるが、実は先月まで、えのきの卸売価格は低迷していた。例年この時期は200g当たり50~60円で推移するが、今年は野菜が豊作で値崩れし、30円台にまで落ち込んでいたのだという。

 ところが今月に入り、NHKの情報番組『あさイチ』(10月2日放送)で、えのきのダイエット効果が紹介されるやいなや状況は一変。

「その後1週間で、卸値は一気に2倍近くはねあがり、例年並みの55円程までに回復しました。他の野菜が低価格で推移しているなかで、えのきが注目を集めているのです」(前出・出川さん)

 今、えのきがこれほどまでに注目されているのは、最近の研究で新成分が発見されたから。まいたけでも、しめじでもない、えのきに特有の“新効果”とは?

 えのきに限らず、きのこ類にはそもそも“キノコキトサン”という優れたダイエット効果を持つ物質が含まれている。きのこ研究の第一人者である東京農業大学教授の江口文陽さんが次のように説明する。

「きのこが持つダイエット効果は“排泄力”によるものです。キノコキトサンは腸内で、食事などで取った余分な脂肪の周りに薄い膜を張ります。この膜が、脂肪が腸内で吸収されるのを阻害します。また、腸を活発に動かす整腸作用があり、便と一緒に脂肪を排泄してくれます。その結果としてダイエット効果が期待できるのですが、キノコキトサンの含有量は、実はきのこ類の中でえのきがナンバーワンなのです」

 また、えのきにはキャベツの2倍以上の食物繊維が含まれているなど、これまでは腸内環境を整えてくれる健康食材として注目されてきた。

 ところが近年、えのきに整腸作用以外の側面があることが研究によりわかってきたのだ。今回発見された“エノキタケリノール酸”の名付け親である日本薬科大学教授の渡邉泰雄さんは次のように説明する。

「えのきに含まれるキノコキトサンの一部に“エノキタケリノール酸”という成分があり、内臓脂肪を減少させる効果のあることがわかったのです」

 渡邉さんによれば、エノキタケリノール酸には脂質代謝を活性化させる効果があるという。

「私たちの体内では、運動をした際にホルモンの一種であるアドレナリンが分泌されます。これが脂肪細胞にあるアドレナリン受容体と結合し、最終的には脂肪分解酵素であるリパーゼを活性化させることで脂肪を分解しています。

 最近の研究では、エノキタケリノール酸にアドレナリン受容体を活性化させ、アドレナリンが受容体に結合しやすくする働きがあることがわかったのです。つまり、エノキタケリノール酸を摂取することで、運動しているのと同じような効果が得られるというわけです」

 それでは、えのきの脂肪分解作用には、どれほどの効果があるのだろうか。

「私たちの研究グループが行った実験では、2か月間エノキタケリノール酸含有の茶類を服用することで、内臓脂肪が約22%減少したことが確認されました。特に、BMI(ボディマス指数)が26以上と高めの人や、ウエストが95cm以上あるようなメタボ予備軍には効果的です」(渡邉さん)

 また、NHKの『あさイチ』では、細かく切った干しえのきをお湯にひたした“えのき茶”を毎日飲んだところ、内臓脂肪が2週間で26%も減少した女性が紹介されていた。

※女性セブン2012年11月1日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン