日本人の9割がお風呂好きで、入浴時間は平均で30分。男性の平均は27分42秒に対し、女性の平均は32分55秒と長い。そして、入浴時間のうち湯船に入っているのは男性が14分30秒、女性は15分35秒。女性のほうが、洗髪などで時間をかけていることがわかった(ウェザーニュースしらべ)。
疲れをとりリラックスできるお風呂は、寒い冬には冷えた体を温めるからと、幼いころには数え唄を歌ってお風呂からあがるように言われた人も少なくないだろう。大人になっても、温かな蒸気に包まれる風呂場は代謝を促すと信じて美容のために長居をする人も少なくない。
しかし、蒸気に囲まれ、肌に良いと思われている半身浴や、寒いからと熱いお湯に入って代謝をあげようとするのは、カサカサ肌を招きやすいという。
こうしたお風呂の常識が、肌の水分を保持するだけでなく外部の刺激から肌を守る成分としていま注目の“セラミド”を失う原因になっているという。皮膚科認定専門医で、私のクリニック目白院長の平田雅子さんが、毎日繰り返している入浴とスキンケアについて解説する。
「熱いお湯に長く入っていると皮膚がふやけてセラミドが流れやすくなります。セラミドを守るには、5分以内で38~40度の湯からあがるのが理想です。失われてしまったものは、保湿クリームにセラミドが配合されているもので補う必要があります。
入浴後は肌(角層)に水分を多く含んでいるので、その水分をキープするためにも、体が濡れているうちに全身にオイルやクリームを塗る習慣を。また、外からセラミドを補うだけでなく、ミネラルウォーターを飲むなど体の中に水分を与えることも大切。冬場もしっかり水分を摂って細胞の隅々までうるおわせましょう。
風呂場は肌の水分や皮脂が奪われやすい場所。乾燥がひどいときは、クレンジングを入浴後にしてみて。メイクを落としてから入る場合は、セラミド入りクリームを塗ってから入浴を」
お風呂場で石けんをつけてムダ毛剃りという常識も、クリームを使ってティッシュで拭くか軽い水洗いがおすすめ。温かいお風呂に入ったときに、一緒に済ませようというのは肌に厳しいやり方だ。
「入浴でふやけた肌は、セラミドが流れやすく、肌が外部刺激に弱い状態なので、ムダ毛剃りだけでなく、ゴシゴシ洗いも厳禁」
そして、お風呂からあがったら、5分以内にボディケアとフェイスケアにとりかかろう。
「粉ふきしてかゆくなるスネや、カサカサして固くなる、かかとやひじ。その原因は肌の乾燥です。かかとなどはピーリングや削り落とす方も多いですが、逆にひどくなることもあるので、まずは保湿ケアをしっかりしましょう。顔のなかでも乾燥しやすい目元とほほは、クリームの重ねづけを。日中も、化粧直しの要領で2時間おきの“保湿直し”の習慣をつけること」
しっかりクレンジングして、ゆっくりお風呂に入り、体をゴシゴシ洗って……肌にとって、やりすぎは何事も禁物とわかった。
肌がかゆい、乾燥する、肌が荒れるなどのセラミド不在肌を克服するお手入れには、「キュレル 潤湿保湿フェイスクリーム」(40グラム 2415円* 花王)のような“セラミド”配合クリームを。入浴で奪われる水分を体へおぎなうには、天然由来の保湿成分配合の「ビオレ ボディデリうるおいケアポット(とてもしっとり)」(220グラム オープン価格 花王)やナチュラルシアバター100%の植物性保湿クリーム「ママバターフェイス&ボディクリーム」(25グラム 1260円* ビーバイイー)などがある。(*価格はすべて編集部調べ)
乾燥する季節こそ、入浴習慣を見直しながらセラミドを補給しよう。そうすれば、隅々まで潤って肌がかゆくなったり荒れたりしない冬を過ごせそうだ。