ライフ

睡眠不足そのものが食欲抑制ホルモンを減少させ体重を増やす

 白澤卓二氏は1958年生まれ。順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授。アンチエイジングの第一人者として新刊『ボケない道』(小学館101新書)を上梓し、テレビ出演も多い白澤氏が、睡眠と肥満の関係についての新しい知見を紹介する。

 * * *
 米国と日本での大規模調査では、「平均睡眠時間が7時間」の人が最も長寿の傾向が認められると報告されている。睡眠時間がそれより長くても短くても寿命は短縮する傾向にある。

 実際、仕事が忙しくなると、まず運動ができなくなり、次に平均睡眠時間が短くなり、ついには食事が不規則になり、体重が増えてしまう。しかしながら、体重が増える原因が運動ができないからなのか、あるいは食事が不規則になるからなのかはっきりしていなかった。

 そんな中、睡眠不足自体が体重を増加させているメカニズムが解明され、話題を呼んでいる。寝不足で脂肪細胞がエネルギー代謝を変えてしまった結果、体重が増えてしまうという発見だ。

 英バーミンガム大学のシャーラッド・タヘリ博士らの研究グループは30歳から60歳の健常米国人男性1024人を対象に、睡眠時間と血液中の「レプチン」や「グレリン」などのホルモンの関係を調査した。

 レプチンは脂肪細胞から分泌される食欲抑制ホルモン、グレリンは胃から分泌されるホルモンで逆に食欲を増進させる働きがある。調査の結果、睡眠時間が8時間未満の人では、睡眠時間が減れば減るほど体重が増える傾向が認められた。

 ホルモンとの関係を調べると、睡眠時間が短くなるほど血中のレプチン濃度が低く、逆にグレリンの濃度は上昇した。つまり、睡眠時間が減少すると、脂肪細胞から分泌されていた食欲抑制ホルモンが減少し、逆に胃から分泌される食欲増進ホルモンの作用が高まっていたのだ。

※週刊ポスト2013年3月15日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン