商社勤務の男性は成田空港内のドラッグストアで奇妙な光景を目撃した。
「中国人らしき若いカップルがコンドームなどのヘルスケア用品が並んでいる棚の前にしゃがみ込んでゲラゲラ笑っていたんです。すると、見慣れない和風のパッケージの箱をレジに持って行きました。何を買ったのかと後で棚を確認してみると、バイブレーターだったので仰天しました」
いま成田で「人気みやげ」になりつつあるのが、3月3日の発売後に大きな話題となっている「iroha」(イロハ)である。
男性用オナニーグッズで知られるTENGA社が5年の歳月をかけて開発したバイブ「iroha」はその画期的なデザインや機能が支持され、当初予想の3倍近い売れ行きを見せている。あまりの品薄のためにTENGA社は3月18日に〈iroha欠品のお知らせとお詫び〉を出したほどだ。本誌も発売に先駆けてその設計思想や開発秘話をレポートし、大きな反響を呼んだ。
現在「iroha」はネット通販でしか手に入れることができないが、例外的に成田・羽田両空港のドラッグストアでは店舗で購入できる。発売後、成田の店舗には数十個が仕入れられ、アジア系の外国人や日本人の海外出張族を中心に好調に売れているという。
自社の通販サイトで「iroha」を取り扱い、秋葉原にも店舗を構えるアダルトグッズデパート「エムズ」の広報担当者が語る。
「外国人の方からも『iroha』のお問い合わせを多くいただきます。日本のメーカーが手がけたバイブの素材や振動のきめ細かさに驚かれる外国人は多いんです。アジア系に人気で、中国の方もよくまとめ買いされています」
秋葉原といえば中国人が炊飯器など日本の家電製品を大量購入する光景がおなじみになっているが、アダルトグッズにも強い需要があるようだ。
「中国のアダルトグッズはすぐ壊れるので、日本の製品をみやげに持って帰ると友人に喜ばれるんですよ」(中国人留学生)
日本の技術力はまだまだ健在である。
※週刊ポスト2013年4月5日号