国際情報

習近平氏 腐敗、堕落の解放軍に危機感で大粛清に動く可能性

 世界最大の陸軍を擁し、230万人の兵士を抱える人民解放軍。しかし、内部では腐敗が蔓延するなど、その扱いは中国指導部にとっても最も大きな課題となっている。ジャーナリストの富坂聰氏がレポートする。

 * * *
 習近平体制は今後の人民解放軍の行方を左右する重大な事件の判決を控えている。

 事件そのものは昨年1月の胡錦濤体制下で起きた。軍用地や兵舎などの兵站を担当する総後勤部副部長の谷俊山中将が軍用地を転売した疑いで解任され、規律検査委員会に拘束されたのだ。転売した資産の評価額は約20億元(約260億円)に上るとの報道もある。  

 腐敗撲滅を掲げ、「虎もハエも叩く」と言い放った習近平が谷中将を厳罰に処せるかどうかに注目が集まっている。強大な影響力を持つ陸軍ではこれまで死刑になった者がいない。

 しかし、過去の判例と比較すれば、ここで死刑にできなければ一般民衆だけでなく末端兵士の不満は爆発し、習近平体制は一気に危うくなる可能性がある。

 習近平にしてみれば、軍上層部の抵抗も怖いが、放置しておくのはもっと怖いという背に腹は代えられない状況だ。私は習近平が覚悟を決めてこれから軍の大粛清に動く可能性が高いと見ている。

 最近、習近平は「戦いに勝つ強い軍をつくる」などと強硬発言を繰り返している。それを日本のメディアは人民解放軍への依存を強め、軍を擁護していると報じたが、その指摘は間違っている。

 実際は逆で、そのような発言をせねばならないほど、人民解放軍は腐敗、堕落し、このままだと機能しなくなるレベルに達しているのだ。

※SAPIO2013年6月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

岸信夫元防衛相の長男・信千世氏(写真/共同通信社)
《世襲候補の“裏金相続”問題》岸信夫元防衛相の長男・信千世氏、二階俊博元幹事長の後継者 次期総選挙にも大きな影響
週刊ポスト
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
女優業のほか、YouTuberとしての活動にも精を出す川口春奈
女優業快調の川口春奈はYouTubeも大人気 「一人ラーメン」に続いて「サウナ動画」もヒット
週刊ポスト
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
女性セブン
今回のドラマは篠原涼子にとっても正念場だという(時事通信フォト)
【代表作が10年近く出ていない】篠原涼子、新ドラマ『イップス』の現場は和気藹々でも心中は…評価次第では今後のオファーに影響も
週刊ポスト
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
韓国2泊3日プチ整形&エステ旅をレポート
【韓国2泊3日プチ整形&エステ旅】54才主婦が体験「たるみ、しわ、ほうれい線」肌トラブルは解消されたのか
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン