国際情報

慰安婦募集広告 日本兵の月給7円時代に月収300円超の記録

「慰安婦問題」について、日本批判を繰り返す韓国政府。しかし、韓国人ノンフィクション作家の金完燮氏は慰安婦が「性奴隷」だったとする主張に異を唱える。新刊『日本人が知っておくべき「慰安婦」の真実』(小学館)の中で、金氏は以下のように解説している。

 * * *
 不当な扱いを受けたと証言する元慰安婦については、その言葉が事実だとしても、当事者の証言とその家族や女衒(ぜげん)の立場はかなり異なる可能性があることを忘れてはいけない。たとえば、女衒が慰安婦の両親に莫大な前払い金を渡した場合でも、両親は娘に売春婦として売ったとは言えず、事実を隠したまま挺身隊に行くのだと話したり、日本にある工場や病院に就職するのだと伝えたりして、業者について行くよう諭したこともあっただろう。

 従軍慰安婦問題に関する資料には、朝鮮で慰安婦を集めた女衒が少なくて300円、多い時は2000円もの大金を両親や家族に支払ったという記述がある。このような場合、女衒は投資額を回収しなければならないため、相当の期間、慰安婦に報酬を支払わないことになる。一方の慰安婦当事者は、強制的に連れて来られ、一銭ももらうことなく酷使されただけで故郷に帰ったと信じるようになるのである。

 ただし、朝鮮出身の慰安婦についてはその社会性、つまり、600年もの長きにわたる儒教思想による純潔と貞操観念が厳しい社会で、慰安婦として働いたという前歴がどれほど彼女たちを精神的に苦しめたかということは理解しておく必要があろう。

 では、当時の慰安所の規模と運営実態はどうだったのだろうか。戦争が拡大していくにつれて、軍では後方に対してより多くの慰安婦を要請した。これに対して日本政府は多様な方法で、必要な数の慰安婦を供給するよう努めた。

 日中戦争初期までは、軍人100人あたり慰安婦1人の基準を充足するのに特に問題はなかった。しかし、1942年、戦線が東南アジアと太平洋地域に拡大され、海外に派兵された日本軍の規模が急激に増大すると、慰安婦への需要も増加した。日本国内で慰安婦を確保するのが難しくなった業者は、朝鮮や台湾、中国で両親に前金を渡したり、勤労挺身隊としてたくさん稼ぐことができると騙したり、あるいは道端の拉致という方法で慰安婦を調達したのである。

 売春婦を連れて軍隊を回れば大金を稼げるという事実が知れわたり、多くの業者がこの事業に駆け込んだことだろう。彼らは手段と方法を問わず慰安婦少女を確保しようとしたはずだ。

 そのひとつの例として、1944年10月27日付『毎日新報』にはホ氏という人物が「軍慰安婦急募」という広告を出しており、1944年7月26日付『キョンソン日報』にも「クムジョン紹介所」名義で「慰安婦大募集」という広告が掲載されている。

 この広告には17歳以上の女性を対象に月収300円以上、前払い3000円可能という内容が記されている。当時、皇軍の2等兵の月給が7円だったことを考えれば、当時の慰安婦事業がどれほど大好況だったか推測するに余りある。

 そして、それだけの収入が得られるならば、自分の意志であろうが、親など他人の意志であろうが多くの少女が志願したのではないだろうか。しかし、その数字は韓国の国定教科書で主張されている10万人から20万人とは相当の乖離がある。

※『日本人が知っておくべき「慰安婦」の真実』(小学館)より

関連キーワード

関連記事

トピックス

10月に公然わいせつ罪で逮捕された草間リチャード敬太被告
《グループ脱退を発表》「Aぇ! group」草間リチャード敬太、逮捕直前に見せていた「マスク姿での奇行」 公然わいせつで略式起訴【マスク姿で周囲を徘徊】
NEWSポストセブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《梨園に誕生する元アイドルの嫁姑》三田寛子と能條愛未の関係はうまくいくか? 乃木坂46時代の経験も強み、義母に素直に甘えられるかがカギに
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
ヒグマが自動車事故と同等の力で夫の皮膚や体内組織を損傷…60代夫婦が「熊の通り道」で直面した“衝撃の恐怖体験”《2000年代に発生したクマ被害》
NEWSポストセブン
対談を行った歌人の俵万智さんと動物言語学者の鈴木俊貴さん
歌人・俵万智さんと「鳥の言葉がわかる」鈴木俊貴さんが送る令和の子どもたちへメッセージ「体験を言葉で振り返る時間こそが人間のいとなみ」【特別対談】
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン
佳子さまの“ショッキングピンク”のドレスが話題に(時事通信フォト)
《5万円超の“蛍光ピンク服”》佳子さまがお召しになった“推しブランド”…過去にもロイヤルブルーの “イロチ”ドレス、ブラジル訪問では「カメリアワンピース」が話題に
NEWSポストセブン
「横浜アンパンマンこどもミュージアム」でパパ同士のケンカが拡散された(目撃者提供)
《フル動画入手》アンパンマンショー“パパ同士のケンカ”のきっかけは戦慄の頭突き…目撃者が語る 施設側は「今後もスタッフ一丸となって対応」
NEWSポストセブン
大谷翔平を支え続けた真美子さん
《大谷翔平よりもスゴイ?》真美子さんの完璧“MVP妻”伝説「奥様会へのお土産は1万5000円のケーキ」「パレードでスポンサー企業のペットボトル」…“夫婦でCM共演”への期待も
週刊ポスト
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン