スポーツ

阪神先発・小山正明「天覧試合長嶋サヨナラ弾は完璧本塁打」

 プロ野球が人気スポーツの地位を得るきっかけとなった天覧試合は、1959年6月25日に後楽園球場で行われた。阪神が先制するも、5回に巨人が長嶋茂雄の本塁打などで逆転。6回に阪神が再逆転するが、7回には王貞治が「ONアベック本塁打」第1号を放って4-4の同点となった。
 
 9回裏、新人の村山実がマウンドに上がると長嶋がサヨナラ弾を放つ劇的な幕切れで終わったあの試合を、阪神の先発をつとめた小山正明氏が振り返った。

 * * *
 両陛下がお見えになることを聞いたのは1週間前。僕が日系二世のカイザー田中監督から先発を言い渡されたのは、試合3日前のことだった。

 僕は終戦時、小学5年生。子供の頃は『君が代』が聞こえれば直立不動、お召列車が通過する時は日の丸の旗を持って頭を下げるという時代で、天皇陛下がどのような存在かはわかっていた。そのため緊張していたのか、僕も元ちゃん(巨人の先発・藤田元司氏)も調子が悪く、乱打戦になってしまった。ただそのおかげで、両陛下に野球の醍醐味を味わっていただくのには、相応しい試合内容になったのではないかと思う。

 選手たちは、両陛下に野球を楽しんでいただきたい気持ちが強く、守備交代はもちろん、内野ゴロでも全力で走るなど、とにかく一生懸命のプレーを心掛けた。鳴り物も禁止されていたと記憶しているが、球場全体がいつもと違う雰囲気だった。

 両陛下が9時15分までしか観戦できないというのは、グラウンドには伝えられていなかったが、長嶋のサヨナラ弾はその3分前というから、やはりスーパースターならではの演出だった。あれは完璧な本塁打。ベンチから見ていてもわかったし、捕手の山本哲也も三塁の三宅秀史も確認していた。ただ、やはり先発した試合が勝てなかった悔しさは今も残っている。

 試合後、ベンチ入りした全員に菊の御紋入りの恩賜煙草が配られた。僕は煙草を吸わないので親父に持って帰ったが、親父が感激して見入っていたのを覚えている。

※週刊ポスト2013年10月11日号

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン