早朝から深夜まで1日約1万人が集まる皇居ラン。時間を昼と夜に分け、平日の夜と休日の昼の合計2周、皇居ランをしながら、ランニング初心者の本誌記者(50代女子)が観察してみた。
早朝は、60代とおぼしき女性のゆっくりランか、フルスピード全開で風のように駆け抜ける本気走りの人ばかりだという。
昼は近隣の会社に勤めるOLたちが押しかけ、休日になると40~50代の主婦層が加わるようだ。
午後6時。ほんのりとあたり一面を茜色の夕焼けが包み込んだころ。体育会系ランナーとはまったく違った空気を放っている、2人から4、5人の女子グループが、あちこちから集まってくる。
彼女らは小走り程度の速度で友達と肩を並べしゃべりながら、歩を進めている。ランではなく、どう見ても速ウオーキングの30代半ばの2人にペースを合わせつつこっそり話を聞いてみると。
「もう、うちら駄目だと思うんだ…。はあ~。メールのレス、こないし」
「えーっ、あんなにラブラブだったじゃん」
「てか、あいつ、女いる」
「マジで? 最低」
失恋話は、居酒屋で向き合うより互いの顔が見えない分、横に並んで走りながらのほうが話しやすいのかもしれない。
次に現れたのは20代ぐらいの女性たち。
「今日はどうする? このあと、飲みに行くのやめて帰る?」
「そうだね、せっかく運動した分、もったいないもんね」
「ああ、でもどうしよう。冷え冷えの生ビール1杯だけつきあってくんない?」
「しょうがない、じゃ1杯は奢りで」と、実に楽しげ。結局、飲むんじゃん。
自らも週に2回は皇居外周を走るライターの氏家裕子さんはこう話す。
「皇居ラン女性に新たな変化が見られます。居酒屋で女子飲みするなら、走りながら話す?みたいな人が増えてきました。ゆっくりしたスピードで話しながら走る。コミュニケーションの場になっているようです」
※女性セブン2013年10月17日号