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約3割が死亡する急性心筋梗塞 発作予測は難しいが予防は可能

 急性心筋梗塞は発作を起こして病院に到着するまでに約30%が死亡するといわれる。胸痛など前駆症状がまったくなく前日まで元気に働いていた人が、突然死することもある。死亡率が高く人生最初の発作が最後の発作になる場合もあり、急性心筋梗塞を含む心疾患は、現在日本人の死亡原因の2位である。

 心筋梗塞や狭心症は、心筋に栄養や酸素を供給している冠動脈がかなり狭くなるか閉塞し、血液が届かず酸素不足となり、心筋梗塞では心筋が壊死する。従来、急性心筋梗塞は冠動脈内のプラークが肥大し、動脈硬化で血管が狭くなり最終的に冠動脈が閉塞することで発症すると考えられてきた。

 しかし、血管がかなり狭窄しても、必ずしも急性心筋梗塞を発症するわけではなく、プラークを覆っている膜が破裂し、血管内に様々な物質が飛散、血栓ができて血管が閉塞することが原因だと分かってきた。

 東京ハートセンター副院長で循環器内科部長の細川丈志医師に話を聞いた。

「急性心筋梗塞の前兆となるような危険な病態は、発生から1か月以内の新しいプラークや次第に肥大化して狭心症の症状を増悪させている不安定プラークの存在です。不安定プラークによって起こる狭心症や心筋梗塞、心臓突然死を総称してACSといっています」

 急性心筋梗塞の治療は、詰まった冠動脈を開通させて、心筋の壊死を最小限にとどめるために行なう。心筋は再生能力がないので、再開通が早ければ早いほどよく、発症から3~6時間以内が望ましい。最近ではカテーテルによるステント留置などで早期の血流再開を促す治療もある。

「不安定プラークを簡便・確実に診断する方法はないので、発作の予測は難しいのが現状です。ただし、予防はできます。喫煙習慣、高血圧や高脂血症などの危険因子の是正と適度な運動と食事でメタボリックシンドロームを改善すれば動脈硬化の進展を抑制できます」(細川副院長)

 過労やストレス、寒暖の差なども狭心症や心筋梗塞の発症リスクだ。35歳を過ぎたら定期的に血液検査を行ない、少しでもおかしいと思ったら専門医を受診して、動脈硬化の進行状態をチェックすることも大切だ。

(取材・構成/岩城レイ子)

※週刊ポスト2013年11月22日号

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