しかも、スパイ防止法は「自主憲法制定」と並んで祖父・岸元首相の悲願でもある。中曽根政権時代、すでに政界を引退していた岸氏は『スパイ防止のための法律制定促進議員・有識者懇談会』会長に就任し、設立総会(1984年)で、「スパイ防止法なしに独立国家とはいえない。今日までできなかったのは戦後の占領下につくられた新憲法によるものだ」と、法案成立を強く訴えていた。
首相が特定秘密保護法案を成立させれば、「祖父の遺訓」を達成し、保守政治家として中曽根大勲位を上回る実績を残せる。
「安倍首相は最近、中曽根氏は保守傍流で、自分こそが保守本流だと自負しているフシがうかがえる。中曽根氏にできなかったスパイ防止法も、祖父の夢だった自主憲法制定も自分ならやれると考えているのではないか」(浅川氏)
※週刊ポスト2013年11月29日号