このおやじさん、その印象どおり、かなり陽気で楽しい。
「よく話しかけてくる客がいるんだけれど、そんなときは背中を向けて絶対に相手をしない。だって、不愉快に思う客もいるだろうし、贔屓や差別になっちゃいますからね」と、真面目な顔で言う。
ところが、通い始めて4年になるという50代のサラリーマンが、これを即否定する。
「うそですよ。話が面白いし、酔っぱらいのぼくらをうまくいじってくれるんですよね。それが楽しくて来てるってところもあるんですから」
こんなやりとりで、店内に笑いが広がる。みんなおやじさんを慕って飲みに来ているのだ。
「池袋には、安い立ち飲み屋がたくさんあって、いろんな店に行きましたよ。でも半年前からここに通いづめ。マスターが気持ちよくて、居心地がいいんです」(30代、金融系)
「地下鉄1駅半くらい歩いてここへ来ます。ちょうどいい距離のところに、こんなに品のいい立ち飲みの店があって、いい味のマスターがいる。そりゃあ週3日ペースにもなりますよ」(50代、出版系)