価格面で安定しているのも大きい。キャベツは、他の葉野菜と比較すると、単位あたりの重量がケタ違いに重い。ほうれん草や小松菜などの葉野菜が一把200─400g程度だが、キャベツは中玉で約1kg。グラムあたりの価格でも3─4倍の差がつく計算だ。生食ならかさも増え、見映えもいい。好き嫌いの出にくい味だから、家庭でも外食でも食卓に上る機会は増える。自然と生活に取り込まれやすくなる。
とんかつの千切りキャベツは言うに及ばず、お好み焼き、焼きそば、ロールキャベツ、コールスロー、漬物、味噌汁、回鍋肉、コンビーフ炒め、ザワークラウト……。この他にも味噌汁などなど、日常的に接するキャベツメニューを数え上げたらきりがない。
購入者には店頭で大きなスペースに置かれた姿が刷り込まれ、作り手にとってはリーズナブルで使い回しがいい。食べ手にとっては、どんな料理を食べていても登場する、やたらと身近な存在。確かにキャベツは国民的野菜と言っていいのかもしれない。
だが考えてみれば、焼肉屋でキャベツがお通し代わりに出てくるようになったのは、この10年ほどだ。主役のメニューとしては未開拓な部分も多い。キャベツには、さらなる国民的野菜になれるポテンシャルが潜んでいる。