特集

何歳になっても異性求める――55才以上男女の性を調査した書

 年齢を重ねるにしたがい、性生活はどう変化していくのだろうか──。元東京大学医学部長で、現在は公益財団法人・喫煙科学研究財団理事長として、医学・生物学者の研究支援を行っている石川隆俊さんは、医学者として自問する形で性を考察しながら、多くの高齢者に聞き取り調査を実施。その実態を紹介する書『なぜヒトだけがいくつになっても異性を求めるのか』(かんき出版/1365円)を出版した。

 多くの人の声を紹介しながら、医学者ならではの、勃起や射精がおこる生理的プロセスをわかりやすく解説。さらに、古今東西の文学に描かれた性も紹介。年齢にかかわりなく読める性の手引書ともなっている。そして、いくつになってもセックスのかかわりをもちながら愛し愛されることの大切さを説く。

 ゆっくり時間をかけて聞いた声が著書には登場する。《性の喜びは死ぬまであるかもしれません (中略)私は、男の人がその気になったときには、ありがたいことと受け入れることにしています》(67才・女性)

《セックスは週に一度くらいですね(中略)よく言うじゃありませんか、女は死ぬまでその気があるって。私の知っている人でも、ご主人を亡くして三カ月くらい経つと、男の人ができるんですよ。女はみんな、さびしいんです》(70才・女性)

《外に女がいた主人とは、八十歳のころまでありました(中略)夫婦というのは不思議なもので、嫉妬心と関係なくセックスはできましたね》(84才・女性)

 男性の場合は、前立腺の病気や糖尿病を抱える人も多いが、それでもあきらめてはいない。バイアグラを服用して頑張る人もいる。

《七十八歳までは元気すぎて困るくらいでした》(80才・男性)

《いまでも勃起しますし、精液も出ます》(92才・男性)

 こうした聞き取りを重ねて、著者の出した結論は、

「人はいくつになっても異性を求めているということでした。女の人の性は、閉経を過ぎると終わるもの。男だって60才過ぎるとどうでもいいと思うようになるのでは、と思ってきたのですが、実はそうではなかったんです」

 医学者として長年、ヒトの体の病気を研究対象としながら、性の大切さを見過ごしてきたことを反省したという。

「人は、おいしいものを食べたり、褒められたりすると、脳の深部から神経伝達物質のドーパミンが放出され、快感や幸福感を持ちますが、このドーパミンが最も多く放出されるのが、セックスなんです。セックスにより人は幸せを感じ、この世に存在する意義を感じられる、私たちにとって、それだけ大事なもの。人に最大の安らぎと生きがいを与えてくれます。夫婦や愛するパートナーがセックスを楽しむことは、極めて自然な行為で、死に至るまで人として生きる最後の砦であるといえます。

 ですから、“もう年だからセックスは卒業”ではなく、“若い日の欲望のままのセックス”でもなく、いたわりを込めたセックスを高齢者にはしてほしい。特に、若い人たちには、人はいくつになっても男と女として生きていること、それは自分たちの将来の姿でもあることに、理解を示してほしい」

 それが著者の切なる願いだ。

※女性セブン2014年1月30日号

関連キーワード

トピックス