それにしても、昨年9月末の段階でソニー株の保有比率が1.64%(第5位株主)に過ぎなかったサード・ポイントが、なぜここまで経営に対する影響力を持っているのか。
「これまで平井社長はサード・ポイントとは敵対関係ではなく、むしろ友好的な株主として、エンターテインメント事業の分離提案もやんわりと跳ねのけてきました。でも、昨年暮れには同事業のリストラに着手するなど、次第にサード・ポイント側の要求を呑まざるを得なくなっています。
それだけサード・ポイントを支持する投資家が多くなり、ソニーの執行部も無視できなくなったということでしょう。株主価値を最大化させるために赤字部門を何とかさせて、株価を高めて売り抜けるのがヘッジファンドの常套手段。利益をトントンにしたぐらいで満足しないのは当然です」(前出・関氏)
投資家への書簡では、目標未達なら今年の株主総会で何らかの株主提案も検討しているというサード・ポイント。そうなれば、株の買い増しや取締役の派遣要求などが行われる恐れもある。
いよいよ牙を剥きそうな大株主にソニーはどう反証していくのか。パソコン事業の行方も含めて、両社の攻防によっては新たな事業再編の引き金を引きそうだ。