江戸中期から明治期にかけ、北海道と大阪を結んだ買積船「北前船」。北海道から昆布やニシンなどの海産物を積んで、下関から瀬戸内海を通る西回り航路で“天下の台所”大阪へ。その航路は「昆布ロード」とも呼ばれる。
そのため、関西の食文化には昆布が深く根付いている。対して関東は昆布の消費量が比較的少ないとされる。
「関西で昆布といえば、だしにも使われる真昆布。関東では佃煮などの日高昆布が好まれます。そこで具材の昆布を関西では真昆布、首都圏では日高昆布に限定しています。肉厚な真昆布と柔らかい日高昆布ではカット法や調理法を変え、地域の嗜好に合わせています。同じく定番の焼き鮭も関西では秋鮭、首都圏では紅鮭と、使い分けています」
さらに海苔にも、地域限定素材があった。首都圏の商品にはない味付海苔だ。「関西ではよくおにぎりに使われる」そうで、味付海苔の商品は関西で3位と4位にランクインしている。
「エビマヨは、関西地区では味付海苔を使っています。エビもまた関西で好まれる具材です」
地域の個性が如実に反映されたランキング。おでんの場合は、「首都圏と関西でここまでの違いは出てこない」と、岡田氏は指摘する。おにぎりが日本人のソウルフードたるゆえんだろう。
同社では常時、20数種類のおにぎりを提供している。コンビニのおにぎりを毎日食べる人も多いため、常に新鮮なラインアップを意識してのことだ。種類は季節で多少増減があるが、約6割を定番商品が占め、新商品が入れ替わり登場する。
「東西ともにランクインした炒飯おむすびなど、寒い時期には温めておいしい商品を強化します。赤飯おこわは通年ですが、秋にはきのこおこわを、年明けからは中華風焼豚おこわを発売。同じおこわでも“新しさ”を提案します」
最近のヒット商品は、オムライスのおにぎり。食生活の変化を敏感に察知し、これまで食事として楽しんでいたものを手軽にワンハンドで味わうという、おにぎりの新しいニーズを発掘した。
※週刊ポスト2014年3月7日号