ライフ

シルクのスカーフをたんすの肥やしにしないためのアイディア

 ファッションプロデューサーの植松晃士さんが、オバさんが美しく素敵に生きるための、オシャレのテクニックを教えてくれます。今回は、バブル期の定番アイテムだったシルクのスカーフの使い方です。

 * * *
 先日、とても素敵なマダムを見かけました。場所は、とあるカフェ。多分、待ち合わせだったのでしょう。ひとり、背筋を伸ばしてコーヒーをいただく佇まいも凜として美しかったのですが、私が注目したのは、そのかたが傍らに置いていたバッグ。トートタイプの広い開口部にさり気なくシルクのスカーフが添えられていました。

 トートバッグって、使い勝手はよいけれど、中身が全部見えてしまうでしょう。スカーフをふわっとかけておくのは、中身を隠すとても素敵なアイディアだと思います。

 思い起こせば、シルクのスカーフは、バブル時代のお土産の定番でした。ご自分のために、免税店であれこれ迷った経験がある人も多いのではないかしら。殿方からプレゼントされるスカーフの数を、女の勲章にしていた若い女性も大勢おりました。

 あの頃はスカーフ全盛期で誰もが三角に折って、背中に背負っていたものです。でも、あるときから流行が一段落してしまい、今はたんすの中にしまいっぱなし。

 それでも捨てられないわよねえ。当たり前よ。シルクスカーフは、ある意味、女である証ですもの。スカーフを捨てない心意気を私はむしろ素敵だと思います。お花とか鳥とかトンボとかセミの柄は今見ても美術品並みに美しいもの。

 だからこそ、トートバッグやカゴバッグのように、開口部が広いタイプのバッグに添えて、中身を隠すというアイディアは、とてもいいと思うのです。

 ほら、今って洋服にプリントを多用しない時代でしょ。センスに“?”マークがつくかたは特に、不用意にプリントものに手を出すと下品になったり、老けてしまう危険性を秘めています。

 でも、無地の服ならなおのこと、バッグにさり気なく柄もののスカーフをあしらうだけで、ぐっと華やかさが演出できます。

 たった一枚でまるで『マイ・フェア・レディ』のイライザのような華やかさと可憐さが手に入るんですよ。つまりお手本はオードリー・ヘプバーンさんか、大地真央さんね。ま~どんなマドンナ? スカーフひとつで瞬時におモテファッションに変身。

 そして、何より素敵なのは、ファッションの観点からだけでなく、実用的にも優れているということ。布で何かを包むのは日本ならではの細やかな心配りで、誇りにしたい習慣だと思います。バッグの中の、こまごまとした中身を隠す慎ましさが、日本人らしくて素晴らしい。

 と、この話を知人にしたら、そのかたはカゴバッグの中身を全部スカーフで風呂敷風に包んで使っていたんですって。これも素敵!

 でもね、シルクは繊細な素材だから、わずか1か月くらいで擦り切れてしまったそうです。だから、上からそっと包み隠す、くらいがいいかもしれません。

 シルクのスカーフを、たんすの肥やしにしておくくらいなら、ぜひ、このアイディアを活用してみてはいかが? 若かりし日々の思い出の品も、浮かばれますよ。

 春なら花柄、夏ならエスニックプリントと、季節感を表現するのにも最適です。しかも新しいものを買わずにオシャレに装えます。ぜひ、お試しあれ。オバさん、万歳!

※女性セブン2014年3月20日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
3大会連続の五輪出場
【闘病を乗り越えてパリ五輪出場決定】池江璃花子、強くなるために決断した“母の支え”との別れ
女性セブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン