ライフ

葬儀費用の稼ぎ頭「戒名」 正式な由来も根拠もなく寺の都合

 現在、葬儀費用約200万円、お墓代約280万円(東京都)ともいわれる高額な葬儀ビジネス。その“稼ぎ頭”とされるのが戒名だ。「終活」の費用を徹底調査した『死ぬのにいくらかかるか!』(祥伝社刊)の著者でノンフィクションライターの大宮知信氏は、母の死に際してこんな経験をした。

「近くの寺に相談に行くと、住職がいきなりファミレスのメニューのような料金表を差し出した。最低の『信士、信女』は30万円、最高の院号つきは90万円。法外な料金もさることながら、死者を金で差別するようなランク付けに疑問を感じました。

 それで本名(俗名)のままお願いすることにし、住職もいったんは承諾しました。ところが葬儀当日になって、『戒名でなければ埋葬できない』と言われた」

 葬儀後、別の住職に相談し、結局戒名をつけてもらうことに。気になるお布施について恐る恐る尋ねたところ「お気持ちですから額はいくらでもいいんですが……」という。大宮氏はホッと胸を撫で下ろしていたのだが、次の瞬間、この住職はこう言うではないか。

「(慣例として)うちは30万円いただいております」

 結局、20万円で戒名を書いてもらったが、住職は金額に不満だったのか、お布施が入った封筒を受け取ると、遺族に慰めの言葉をかけることもなく、そそくさと帰っていったという。宗教に詳しい社会学者・橋爪大三郎氏が語る。

「戒名というのはバレンタインチョコみたいなもの。正式な由来も根拠もない。チョコがなぜ広まったかといえば、菓子メーカーの“都合”です。同様に、戒名が広まったのはお寺の都合なんです」

 橋爪氏によれば、「俗名をつけてはならない」「自分でつけてはいけない」といった戒律は、どこにも存在しないという。

※週刊ポスト2014年3月21日号

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン